乾電池、これでもイケます
2005年2月 6日 17:30 | コメント (5) | トラックバック (0)

電池の + − は、正しく入れてください.....乾電池自体にはもちろん、乾電池を使う機器には必ずと言っていいほど書かれている注意書きである。そしてそれは同時にほとんどの人が知っている常識でもある。では、右のつなぎ方で豆電球は点灯するだろうか?
まあ、こんな前フリをしておいて点灯しないはずもなく、右のつなぎ方でも豆電球は点灯する。乾電池は + − を順番に並べるもの、それはつまり順番に並べないと使えないもの。知識なんていう言い方をするのも大げさに感じるこの法則は、多くの人が知っている常識であることは間違いないが、それが全て正しいという訳ではなかったのだ。
乾電池とは
この現象を理解するには、まず乾電池が何なのかを知らなくてはいけない。乾電池を知ると言っても「アルカリ乾電池は負極に亜鉛、正極に二酸化マンガンと黒鉛を用い、電解液を通して電気を...」といった構造の事ではない。あの手のひらに乗る小さな物体が何をするものなのか、という事だ。
乾電池には + と − がある。ここに豆電球をつなぐと、+ 側からコードを伝って電気が流れ、豆電球を通過して最終的に − 側にたどりつく。豆電球が点灯するのは通過していく電気の力を使っているからだ。では、その電流という電気の流れは、なぜコードをつなぐだけで起こるのだろう。
身の回りで流れると言ってまず思いつくのは水であり川である。それでは川はなぜ流れているのかと言えば、上流と下流を比べると下流の方が低いからである。川に限らず、水は高いところから低いところへ勝手に流れ落ちる。
さらに言えば水だけでなく物体は常に高いところから低いところに落ちる。コードをつなぐだけで勝手に電気が流れる乾電池も、実は川の流れのように高いところから低いところに落ちていたのだ。
つまり、乾電池とは「+ 側が − 側よりも 1.5 m 高い階段状の地形を作り出し、上にある大きなプールに電気が蓄えられている」というものなのだ。左図のように + 側と − 側をつなぐと、 1.5 m 高い場所にあるプールからどんどん下に電気が流れるため、途中に取り付けた豆電球が点灯するという訳である。
点かない豆電球
乾電池が何なのかが分かったところで、なぜあのつなぎ方で豆電球が点灯するのかを考える前に、右図のつなぎ方では、なぜ豆電球が点灯しないのかを考えてみよう。小学校の理科のテストを思い出しそうな右の図は紛れも無く間違った乾電池のつなぎ方で、豆電球は点灯しない。
その理由は、先ほどの黄色いプールの図を思い出してみるとよく分かる。 − と − を合わせ、両はじが + というこの状態はつまり、どちらも 1.5 m の高さなのである。同じ高さに置かれたプールをつないだところで、電気はどちら側へも流れない。逆に + と + を合わせた場合は低い場所同士をつなぐ事になり、これまた電気はどちらへも移動しない。つまり、電池の + と + 、 − と − を合わせた状態では、両はじに高さの差が生じないため電気が流れない。そして、電気が流れないから使えないという訳なのだ。
直列つなぎ
勘のいい人なら既に問題の答えに気づいたかもしれないが、もう少しだけお付き合いいただくとして、次は直列つなぎについて考えてみよう。直列つなぎ。そう、乾電池を + と − の順番で次々につなげるアレである。呼び方を忘れている人もいるかもしれないが、この繋ぎ方をすると豆電球がより明るくなるのはほとんどの人が知っているだろう。では、この直列つなぎとはどういう事なのだろう。
上で乾電池の事を「 + 側が − 側よりも 1.5 m 高い階段状の地形」と書いた。そう、直列つなぎとは左図の通り 1.5 m 高いというその段差の上に乾電池を置いて、その + 側はさらに 1.5 m 高くなっているという状態なのだ。
この状態では一番左にあるプールと、右の地面の高さの差は 3m ある。差が大きくなれば落ちる勢いは強くなり、それが直列つなぎのパワーになる訳だ。この段差は直列つなぎをすればするだけ大きくなり、きちんと準備すれば乾電池で電車を動かすなんて事も可能である。
そして問題のつなぎ方とは
やっと本題である。これまで解説したことをふまえれば、問題のつなぎ方をプールの図に置き換えるだけで説明は済んでしまう。

途中 − と − が組み合わせられていて使えないように見えたつなぎ方だが、実は両はじの高さは 1.5 m 違うのだ。そして、段差があれば高いところから低いところに電気が流れるという法則通り、一番左はじの高さ 3m のプールから、右はじの高さ 1.5m のプールに電気が流れ込むのである。1.5 m というと乾電池1個分。3個使っておいて1個分のパワーというのがなんとも情けない感じだが、とにかくこれで電気が流れ豆電球は点灯するのだ。
つまり「途中の + と − がぐちゃぐちゃでも、両はじに段差さえあれば電気は流れる」という事で、やろうと思えばもっと多くの乾電池や、さらに複雑なつなぎ方でも電気を流す事が可能である。もっとも、それをやったところで「へえ、なんかすごいね」という以上の意味は無い。
おきまりの注意書き
以上の解説は問題を理解しやすくする為に例え話を用いており、実際に乾電池内部で起きている化学反応とは異なります。(最も大きな相違点は、乾電池は電気を貯めておくものではなく、化学反応によりその場で電気を作り出すものだという事)しかし、デタラメといったものではなく上記のつなぎ方で豆電球が点灯するのは事実です。
乾電池を使う機器で + と − を入れ替えると乾電池の液漏れや機器の故障の原因になります。また、この文章を読んで行った実験などで生じたいかなる事態に対しても、Studio Ponytail は責任を負いません。
コメント(5)
Kaz.
2008年4月 5日 08:25
+ーを混在させた場合、
上の例で言うと、逆に入れた電池のプールに電流が流れ込む状態です。
本来「プールから外に流れ出るはず」の電流が流れ込んで来る事によって
プールから水が溢れてしまい、液漏れ・破裂という現象が起きます。
※ 例によって、これは概念的な説明です
乾電池の液漏れを完全に防ぐ、というのは難しいでしょうね。
通りすがりさんの言う通り、現在では改良によって
通常の仕様における液漏れの可能性は低くなっており、
「+ー混在はタブー」という事も十分浸透しているので
低コストな電源として活躍して欲しいところです。
通りすがり
2008年3月21日 10:14
過去NHK『ウルトラアイ』で同種の実験(4本中逆向き1本)を
行っていましたが、暗く点灯したあと、ある程度時間が経過すると
液漏れがおき始め、その後破裂していました。
今の乾電池はこのような問題が起きないのかもしれませんが、
「『無事』電気が流れ豆電球は点灯する」というのは、科学的にはともかく
商品的にまずいと思います。
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ひいちゃん
2009年7月 1日 00:13
四年の子供がいるママです。今日、学校で+-+--+の直列つなぎで豆電球がついてん!予想がはずれてん、なんでやろ~と言われ、勘違いやろと思ってました。助かりました。朝、娘に説明してみます。
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