仮面ライダー響鬼 二十一之巻 〜 三十之巻
2005年9月14日 12:52 | コメント (0) | トラックバック (0)
基本情報
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テレビ朝日系列:日曜8時 仮面ライダークウガから始まったリアル路線の平成仮面ライダーシリーズ第6作。鬼に変身する能力を持つ青年ヒビキが、魔化魍(まかもう)と呼ばれる魔物から人々を守る活躍を描く。鬼や魔化魍の存在、そしてその対立には古くからの歴史があり、ヒビキは猛士(たけし)と呼ばれる組織に属している。猛士は魔化魍出現の監視や討伐スケジュール管理も行うなど極めてシステム化された組織で、設定上職業として仮面ライダーになっていた前作「仮面ライダー剣」よりも遥かに仕事然と魔物退治を行っている。
これまでのシリーズでは主役をはじめ若い新人俳優でキャストを固めるのが半ば恒例となっていたが、今回の主役は既に役者としてキャリアのある細川茂樹が演じている。
二十一之巻 〜 三十之巻 概観
ヒビキや明日夢たちの日常を淡々と描く展開は変わらず。魔化魍たちが世界征服を叫ぶでもなく、ヒビキたちが大事件に巻き込まれるわけでもない。ただじっくりと、少しずつ強くなる明日夢と、その遥か前に立ち「ついて来いよ」と背中で語るヒビキが描かれていた。
また、猛士や鬼といったものを超常的で荒唐無稽・唯一無二な存在とするのではなく、明確な現実感を与えようとする描写が豊富だった。その最たる例は、響鬼が一之巻からトレードマークとして使用していた太鼓のバチをモチーフにした武器に他の鬼用のものがあり、ごく普通に敵によって使い分けている点だ。
一般的にヒーロー物では、各キャラクターが扱う武器はそれぞれの個性という位置づけであり、よほどの事が無い限り他の人物がそれを用いて闘う事は無い。(ごく基本的なものや共通する武器は別)
しかし、実際に組織を構えて永きに渡って魔化魍と闘っているとするならば、これまで蓄積した情報と知識を基に、効率的に闘えるように武器を使い分けることはごく当然である。この作品において鬼が扱う武器は、物語としてキャラクターを特徴づけるアイテムである以前に「魔化魍という悪者を倒すための道具」である事が踏まえられていた。
こういった道具の使い分けや、ヒビキたち鬼が魔化魍に立ち向かうときの姿勢を考えると、仮面ライダー響鬼は、超常的なヒーローが未知のパワーで悪を打ち倒す物語というより、人に害をなす存在から力を合わせて身を守ろうという、警察や消防といった話に近いような気もする。(前述の武器の使い分けも、言うなれば消防という火と闘う組織が、災害現場の状況に応じて装備品・出動車を変える事に似ている)
「現実的な物語」とは、現実の世界で起きる出来事を扱った物語という意味ではない。「ある事実が存在する時、世界はどうなるか」物語における現実感とはここに集約される。これが無ければいくら現実の出来事を扱っても嘘にしか見えないし、これがあれば現実にあり得ない話だろうと、そこに描かれるものは明確な存在感と現実感を持つ。
鬼、魔化魍、ヒビキ、明日夢。それらの現実感を出す事に相当の時間と手間がかけられ、またそこに重点を置くという狙いは、終始ずっとブレる事がなかった。
消防士と少年のふれあいを描いた「仮面ライダー響鬼」は二十九之巻で終わり、今後は「いわゆるヒーロー物」になるのだろう。
仮面ライダー響鬼
オレにとって「仮面ライダー響鬼」という作品は一之巻から二十九之巻を指す。これは別にそれ以降を拒絶・否定するという意味ではない。この作品を「仮面ライダー響鬼」たらしめていたのは、ストーリー以上にその語り口だった。
物語臭(制作者の意図)を感じさせる展開やセリフをなるべく廃し、派手なエピソードを盛り込まずに、ヒビキや明日夢といった登場人物の日常を切り取る。思わせぶりに謎をちりばめて興味を引く事をほとんどせず、全てを画面で見せて描き、逆に画面に描かれていない部分は存在しないという路線を貫く。
そして、それは二十九之巻で終了した。「おはなし」は繋がっているが、三十之巻以降は分かりやすさを前面に押し出した展開となり、いわばこれまでと正反対の語り口となっている。(ここで言う分かりやすさとは、理解しやすさではなく「フィクションの文法」としての分かりやすさ)
柱となる部分が異なるなら、それは区別して考えた方が分かりやすい。三十之巻以降を拒絶・否定しているのではなく単純に区別して捉え、「仮面ライダー響鬼 = 登場人物の日常を切り取ったように見せた作品」だから、一之巻から二十九之巻とイコールで結ばれるというだけの事である。
オレにとっての仮面ライダー響鬼は一之巻から二十九之巻までの物語でした。この素晴らしい作品を作ってくださったスタッフの皆さん、ありがとうございます。
二十一之巻 引き合う魔物
巨大魔化魍を追って山を走るイブキ・ザンキチームの緊迫したバトルと、のんびりだんごデリバリーをするヒビキ・明日夢という2つのエピソードが同時進行する。
ひとつの話を違った側面から見せているのではなく(そしておそらく、2つが次第につながるという事でもなく)純粋に、別の場所で起きている無関係のエピソードが同時に描かれていた。同時に起こった全く別の、さらに ON と OFF、動と静といえる真逆の状況を描く事で、登場人物が同じ時間の上に立って生活しているという現実感を描き出していた。
バトルサイドはいつも通りとして、今回の注目はやはりヒビキと明日夢のたわいもない会話。気になるという訳ではなく、必要だから知っておいた方がいいのかもといったスタンスで猛士の事を聞く明日夢や、「少年はもっちー 派ではなくて、アキラ派って事でいいのかな?」と、両手に花(?)な明日夢につっこむヒビキなんてやりとりは、見ていて恥ずかしくなるほど微笑ましい。
踏切で、隣に立つ女性の胸元が気になって仕方がない明日夢はやっぱりオトコノコだ。
二十二之巻 化ける繭
何かが変わって来た明日夢と、それを恋する瞳で見つめるひとみ、響鬼・威吹鬼・轟鬼による連携攻撃と一仕事終えた男達の語らいが今回の見どころ。
突然倒れたおっしょうを看病し、礼を言うヒビキに「ヒビキさんに頼むぞって言われたんで」と照れや気負いがなく自然にこたえる明日夢は随分成長した印象。ひとみに改めて指摘されてものほほんとマイペースなところがまたいい。
威吹鬼・轟鬼コンビが敵の触手に捕らえられてピンチだというのに、さっそうと現れて鼻をこすり「オレの出番だな」と余裕かます響鬼がステキ。轟鬼の音撃が効かない巨大魔化魍に対し響鬼の思いつきで3人同時による共鳴攻撃を行い、それ自体は「おお、3人同時攻撃とは燃えるぜー」ではあるのだが、太鼓にトランペットにエレキギターってのはセッションとしての統一感はかなり微妙。
いやま、ギター・ベース・ピアノ・ドラムを操る鬼がいて同時攻撃の時は曲を演奏なんて事になるとギャグになってしまうけど。いっそ格調高くヴァイオリン2人・ヴィオラ・チェロで弦楽四重奏にしてしまうのもアリかも。(もっとギャグだ)
一仕事終えた男達のスイッチ OFF な会話が楽しい。その他、おやっさんとの連絡や、ディスクアニマルを総動員しての敵所在の絞り込みなど、未知の敵と対峙する雰囲気もよく出ていた。
二十三之巻 鍛える夏
妙なノリで良く喋る敵童子も含めてコメディ寄りの一話。中でも混乱して暴走するトドロキに対する、丁寧で歯切れのいい「溺れてしまうじゃないか」というヒビキのセリフに笑った。ただ、語り口は軽いものの、語られる内容はなかなか重要。
ヒビキと一緒に専門外である太鼓の鍛錬を行う事に疑問を感じるトドロキ、ブラスバンド部で希望と違うホイッスルをまかされて悶々とする明日夢。ここまで露骨に似たシチュエーションを同時進行させるのはこの作品では珍しいような。
弟子がおらず、これまでは鬼と無関係な明日夢の面倒を見る事が多かったヒビキは「まあまあいいんじゃない」とニコニコ見守る放任的なイメージが強かったが、共に修行する後輩にはなかなか厳しいらしい。
明日夢との接し方を見慣れていると「ロクに鍛えもしないで食べるのだけは一人前」というトドロキに対する手厳しい一言には一瞬驚くが、明日夢は大人として暖かく包み込むように見守り、トドロキは時に厳しく鍛え上げる事で見守っているのだろう。
仮面ライダー響鬼では「鍛える」という言葉がよく出てくるが、そこには肉体的なトレーニングという以上に「人としての修行」といった意味合いが込められている。不本意な状況に立たされたトドロキと明日夢が、それにどう取り組むかという鍛錬を平行して描いていく事になると思うが、安易なシンクロ展開にならないよう願う。
真意をいまひとつはっきり告げないながらも正面を向き合って共に修行しようと言うヒビキと、わざわざバイト先まで尋ねて来て明日夢を気遣うブラスバンド部の部長。トドロキはザンキ、明日夢はヒビキの背中を見ているばかりだったので、違う人が導いてくれるという展開はなかなか新鮮。特に明日夢は高校生なのにヒビキにベッタリなので、ここらで違う展開を入れてくれると物語が一層広がるだろう。
二十四之巻 燃える紅
トドロキ・明日夢それぞれの弦とドラムに対する思い入れが語られ、不本意である事に取り組む意義についても触れられた。トドロキ・香須実と明日夢・日菜佳の会話シーンを交互に見せる演出はちょっとベタ過ぎたような。まあ、このあたりは好みによるところも大きいのかもしれない。演出だけでなく、明日夢が万引き犯とのすったもんだで悩んでいた時のように、このネタそのものをズラして描いて欲しかったところ。
あきらからの電話を瞳に悟られないよう明日夢に繋いだ日菜佳だが、我らがノホホン明日夢は自ら暴露。こちらもベッタベタだが、小ネタなこっちはなんかイイ(なんて勝手な)
人型の敵とのバトルは CG に無理や違和感がほとんど無く、やはりかっこいい。パワーアップした響鬼のアクションにもうひとヒネりアイディアが欲しかった気もするが、今回は3人による太鼓祭りがポイントなので、3人同時フィニッシュがキマっていたのが良かった。
「猛士・鬼という存在のリアルさが良く出ている」というのは書き飽きた感があるが、敵の相性に合わせて武器を使い分ける事がごく普通に行われている様子は、やはりそういったリアルさを感じさせた。
単純に手持ちの武器の種類を選ぶという事ではなく、各鬼固有の武器....すなわち鬼の特徴として描かれていた武器がそのように扱われるあたりがいい。一般に武器や必殺技はキャラクターを定義する重要な要素で、その者でなければ扱えないといった描かれ方をする事が多い。その世界に存在する限られたヒーローであればそれで問題ないし、むしろそう描くべきである。
しかし、仮面ライダー響鬼における「鬼」は脈々と受け継がれる特殊な仕事といった位置づけで、ヒビキ達は仕事然と闘っている。イブキやトドロキ用のバチが存在し、気合いと技術があれば他の者でもそれを使用できるという設定は、この世界観に説得力を与えていた。
二十五之巻 走る紺碧
ちょっとひとやすみといった息抜き的エピソード。あきらとおやっさんを除くメインキャストが水着姿で総登場した。
特訓するヒビキとそれに付き合うイブキ・香須実、プールに遊びに来た明日夢様ご一行など、いつものノリでのんびりと見せてくれる。遅々として進まない明日夢と瞳の仲をつっつく会話もまた青春(?)
一方、バトルシーンもいつも通りと言ってしまえばそれまでだが、今回は特に単調でアイディア不足と感じた。敵の吐く白い粘液をそのまま受け、特に作戦がある訳でもなく相手のフィールドである水中に飛び込むヒビキ。案の定裁鬼と同様固化した粘液によって自由を奪われ、敵の攻撃を受けまくるのだが、気合いを込めたパンチで敵を水中から追い出す。
思いもよらないアイディアだの、凝りに凝ったギミックだのが無くても構わないが、思うように動けない水中でのピンチ脱出法が気合いを込めたパンチのみって。河童と闘うと声が妙に甲高くなってしまう、というオチは意味不明ながら面白かったが、バトル自体にも何かひとつ趣向を凝らして欲しかったところ。
公式ページを見ると敵のガスのせいで声が変わったと書いてあるが、頭だけ変身を解いて固化した粘液を削り取っている時はいつもの声だった。バトル中でなく、削った時に出た粉を吸い込んで声が変わるという事なのかもしれないが、だったら変身したまま削ればいいのでは?
それにしても、ヒビキもトドロキもびっくりするくらい飛び込みがヘタだ。あれじゃ腹が相当痛いに違いない。泳ぎがヘタ、という設定をあえて付加するつもりでないなら撮り直した方が良かった気もする。
二十六之巻 刻まれる日々
ヒビキの隣でドラムの練習をする明日夢。「たちばな」の手伝いもサマになってきて、すっかりヒビキたちの一員といった感じが微笑ましい。スイカが次々集まるというベタなネタをやるのかと思いきや、2個集まっただけでバトルに突入。
「夏だからね」「この季節になると出てくる」と、相変わらず害虫的な扱いの魔化魍。いまだ敵の大目標といったものは語られないが、こうなったらこのまま「脈々と受け継がれる害虫退治屋」の物語で終わって欲しい気もする。敵は必ず地球征服を狙い、ヒーローはかつてない力をもってその敵を根こそぎ打ち砕く、そんなセオリーを無視した「猛士という退治屋のある数年を切り取って見せた作品」なんてのがあってもいい気がする。
一方でイブキが街中で遭遇した二人連れは何やらいわくありげな様子。香須実とイイ雰囲気になりそうなところでいつも邪魔が入るのはヒーローの宿命か。頑張れイブキ。こちらの二人に何か特別な意味があるのかはまだ不明だが、ディスクアニマルを一瞬で倒してしまうあたり、何かを期待(?)させてくれる。
それにしても、響鬼がパワーアップした紅(くれない)状態ってのは、数話前で初めて完成したものではなく毎年なってるお馴染みの姿なのね。「この時期はヒビキくんが紅になって、大量発生する人間型の魔化魍をやっつけるのよ」と、ごく普通に話すみどりの様子がヒーロー物にあってはむしろ新鮮。
二十七之巻 伝える絆
先日のプールで明日夢とチラリと顔合わせをした努がふらりと「たちばな」を訪れる。武器開発担当のみどりが明日夢は既にヒビキの弟子のようなもの、という発言をしていたので「おっ」と思っていたら、当のヒビキも「オレ的には弟子をとってるつもり」だとか。まあ、みどり・ヒビキ共に鬼になるための弟子というより、人生の師弟関係といった認識のようだ。
「ザンキさんだって忘年会の三次会くらいになると、うちの戸田山(トドロキ)はかわいいって言うじゃないですか」「言うわけないだろ。大体、あんなやつのどこがかわいいんだよ」というヒビキとザンキの会話といい、かつて鬼の弟子についていたが両親の反対にあって断念した努といい、相変わらず猛士という組織の存在感を感じさせるネタが豊富。どこにいるのかわからないヒーローと、どこにあるのか分からない組織ではなく、「命の危険もある人を守る職業」という意味では警察だの消防に近いのかもしれない。
バトルシーンではこれまで以上に寄った画が多用されており、紅響鬼の圧倒的な強さと相まってなかなかの迫力。ただ、響鬼の戦闘中のかけ声がイマイチ棒読み気味なのは当初からの味なのだが、今回の「灼熱真紅の型ー」の脱力っぷりは思わず笑ってしまった。主人公が叫ぶ必殺技名がこれだけ気合い抜けまくりなのも珍しい。
先週2コ集まったスイカだが、結局3コで終わり。どんどこ集まるというベタを外してくるあたりもこの作品らしいといえばらしい。
二十八之巻 絶えぬ悪意
くあー、万引き犯との因縁まだ引っ張るか。ここのところ自らの意識も、取り巻く環境も絶好調だった明日夢だが、九之巻(19話前!)で出会った万引き犯に暴行されたようだ。元気づけがてら明日夢を修行に誘うヒビキと、その様子を「たくましくなるのもいいけど、明日夢くんはあの可愛いところがいい」だのとやいのやいの言う女性陣。ずっと明日夢ラブな光線出しまくりなひとみは、明日夢を思って涙を流してくれるし、いい人にかこまれてますな、明日夢。
いかにも超常的な化け物として描かれて来た魔化魍たちだが、こちら側の武器(?)開発も科学的な実験を経て行われているようだ。相変わらず全体としての目的などは語られず、単純に仲間を増やしたり子孫を残す事のみを行っている様子。
多くを語らず、いつもと変わらず一緒にいるだけというヒビキがカッコイイ。
ここ数回、放送終了後に9月公開の劇場版の宣伝小劇場を放送しているのだが、本編を無視した悪ノリっぷりが楽しい。(劇場版自体が本編とは別設定なのだが、それを考慮しても悪ノリ炸裂)
二十九之巻 輝く少年
これまでも優しく明日夢を見守ってきたヒビキだが、具体的に何かを伝えるために行動したり、大人としての意見を口にする事はほとんど無かった。
そんなヒビキが満を持して(?)明日夢に語ったのは「心を鍛えろ」ということ。鍛えるというフレーズはこれまで幾度となく登場し、鬼としての修行や単純な肉体的鍛錬というよりも「成長」に近い意味合いで使われて来た。(オープニング前の明日夢ナレーションによるヒビキの紹介は「鍛えて鬼に変身する男の人」だ)
心を鍛えるといった考え方やフレーズそのものは定番だが、ヒビキと明日夢の関係、作品における「鍛える」という言葉の意味などが丁寧に描かれて来ているため素直に聞く事ができた。また、よそ行きの言葉や耳障りの良い台詞で何かを言うのではなく、いつも言っている事の延長に伝えたい事があるというヒビキの姿勢はやはりカッコ良かった。
実際のところ、回想シーンで明日夢はやられっぱなしではなく立ち向かおうという姿勢を見せていたし、ブラスバンド部で希望とは違うホイッスルを割り当てられてもクサる事なくそれに取り組もうとしていた。心を強くするという意味では明日夢はすでに鍛え始めていると言えるだろう。
しかし、その矢先につまづいてしまった今、ヒビキに改めて心を鍛えろと言われた明日夢は、さらに強くなっていくのだろう。
丁寧に描いて来たこれまでが十二分に生きたエピソードだった。ヒビキは相変わらず明日夢を「少年」としか呼んでいないのだが、いつかそれがキーになるエピソードがあるのだろう。
三十之巻 鍛える予感
「アクの強い新キャラを除いてもこれまでとまるっきり別物なコレはナニ?」と思っていたら、脚本家の入れ替えがあったらしい。テコ入れされるってことは、これまでと同じ事やってちゃしゃーない訳で、明らかに別物になっているのは狙い通りなのだろう。
おもちゃ会社がスポンサーの場合、おもちゃが売れないと(=子供に人気が出ないと)いけない訳で、毎週頑張ってバトルシーンは入れていたものの、徹底して地味な(それはリアルさからくるものだが)ストーリーでは、やはりお子様の食いつきが悪いのかもしれない。
別人になってしまった登場人物、響鬼のバトルを見て「あれは、父さん?」なんてつぶやく思わせぶり展開、ここそこに挟まれる寒い(という事をネタにするにしても、なお寒い)ギャグなど、これまで時間をかけて積み上げたブロックをなぎ倒した1話だった。
後ガマに据えられた脚本家は井上敏樹 氏。このレビューで何度も書いた「仮面ライダー響鬼という作品の魅力」とは対極にあるような脚本を書く人である。自身の方向性がそうである上に、「これまでの路線ではダメ」という事で連れてこられた状態で、二十九の巻以前に歩み寄る物語は書かないだろう。(というか、ここで全く別物の脚本を書かなければプロではない)
これから先、興味の引かれる展開になったとしても、それはオレが仮面ライダー響鬼に期待したものではないだろう。安易な派手さを用いず、脈々と受け継がれて来た害虫退治屋の闘いと、それに関わって少しずつ成長する少年の日々を生のまま切り取ったような物語。29話という長い間、ブレる事無くそれを見せ続けてくれた「ならでは」な作品だったんだけどなぁ。
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