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GBA:逆転裁判シリーズ

2005年2月16日 19:27 | コメント (0) | トラックバック (1)

基本情報

公式ページ  カプコン制作による GAMEBOY ADVANCE オリジナルのアドベンチャーシリーズ。これまでに発売された3作品で一応シリーズは完結している。
 一般的な推理アドベンチャー同様、殺人事件などを解決する事がストーリー上の目的だが、ウソをつく人間に「おいこら待てぇい!」とつっこむ快感をクローズアップした作品となっている。プレイヤーは弁護士成歩堂龍一となり、証人の一挙手一投足に注目して証言の矛盾を指摘して依頼人の無罪を勝ち取る。
 証言の気になる部分に揺さぶりをかけて相手を動揺させ、思わず漏らした失言にこれでもかとツッコミを入れて裁判中に事件を解決するのが基本的な流れ。事件の真相も分かっていないのに裁判を始める弁護士ってのはどうよ、というツッコミが無粋なのは言うまでも無い。

 公式ページには Flash による出来の良い体験版も用意されており、ごく序盤しかプレイできないがこの作品の面白さを知る事ができる。他にも企画・シナリオ・ディレクターを担当した開発者のコラムも掲載されており、これがまた面白い。

シリーズ総観

友人に GAMEBOY ADVACE 本体ごと借りてプレイ。超が3つも4つもつくほどにベタで濃いキャラクタと、強引なまでにコロコロと転がり、時に熱く時に泣かせる王道なストーリーが楽しい。王道を描く際にありがちな「ここらへんはお約束だから描かないけど察してね」といった手抜きが無いため、心地よく話に乗る事ができる。
 悪者をじわりじわりと追いつめ、自信満々だった憎らしい顔を焦燥と絶望に歪ませる瞬間が快感で、キャラクタやストーリー、システムといった全てがその瞬間の為に設計されている。逆転の快感を高めるべくピンチをきっちりと描き、見せ場はこれでもかと大げさに盛り上げる。単純に話の山と谷と呼ぶには極端すぎるこの構成こそが逆転裁判最大の魅力である。
 システムは第1作目でほぼ完成されており、パート3になっても基本的な部分は全く変わっていない。シリーズ開始当初の狙いを全3作を通して貫く様子、そして1作目のコンセプトが3作目でも全く問題なく通用するあたりは見事。あまりにもベタなキャラクタとこってりしたストーリーにより、肌に合わない人はいるだろうが、そうでなければとにかくプレイする価値のある作品。

各シリーズの感想は内容に触れますのでご注意ください。

逆転裁判

第1作目。全4話で構成されており、以降のシリーズと比べると4つのエピソードのつながりはさほど強くは無い。パート1製作当時には続編を想定していなかった為か、驚くようなネタ(トリックではなくストーリーとしてのネタ)が惜しげも無くつぎ込まれている。どうでもいいことだが、なるほどくん に似ているなぁ、だった。

第一章 始めての逆転

 システムをプレイヤーに紹介する為のチュートリアル・エピソード。なるほどくんが始めて担当した裁判という設定で、友人の無罪を証明する。ストーリーやトリック的に驚く部分は無いのだが、ここで登場したバカバカしい凶器が後のエピソードでキーになるという展開に驚き。システムの説明だけでなく「このゲームはここを面白がる作品ですよ」という魅力も十分語られており、新機軸のゲームのとっかかりとしては非常に良い出来だと思う。

第二章 逆転姉妹

 実は友人に借りた時期の関係上パート2を先にプレイしていた為、上司である千尋さんが死ぬ事は知っていたのだが、その事件が起きるのはパート1の最終話だと思い込んでいたのでびっくり。パート2にも千尋さんはバンバン登場するため思い入れや予備知識もあり、このエピソードはそれなりに盛り上がったのだが、パート1からプレイする事を考えると全く違った印象になっていた気がする。
 回想を挟み込むように、後から千尋さんの人となりやなるほどくんとのエピソードをふんだんに描く構成になっており、そういった面ではなんら間違ってはいないのだが、それでもやはり2話目ってのはないだろという気はする。

第三章 逆転のトノサマン

 良い感じにはっちゃけたキャラクタが好き勝手に暴れ回る様子が楽しいエピソード。ただ、探偵パート(逆転裁判は矛盾を指摘する裁判パートと、現場などを調べて証拠を集める探偵パートに分かれている)のテンポがいまひとつで、作業的印象を感じてしまった唯一のエピソードでもある。

第四章 逆転、そしてサヨナラ

 トラウマもの、そして反則もの。オレの中ではこの2つのキーワードで語られるエピソードだが、その2つ以上にコロコロとよく転がるストーリー展開が特徴的である。トリックや矛盾の難易度も絶妙で自分の手で次第に真実を明らかにするという楽しみに富んでいる。
 これまたパート2を先にプレイした事が不可抗力的にプラスに働いており、普通なら「んなわけねーじゃん」の一言で片付けてしまうライバルの殺人疑惑を、「あの例もあるしひょっとしたら」とドキドキしたまま楽しむ事が出来た。
 かなり邪推なのだがパート1のこの4話構成は、シリーズ化の予定が無くカートリッジに詰め込む事ができるエピソードが4編のみ、という状況における苦肉の策である気がする。もう1、2話追加できるなら2話の前に少なくとも1話あっただろうし、シリーズ化が予定されていたならこの第四話はパート2以降に持ち越されていただろう。

逆転裁判 2

このパート2からサイコ・ロックという新システムが加わっている。新システムといっても相手の矛盾を指摘するという単純さと狙いは変わっておらず、裁判パート以外に「異議あり」と叫ぶ場面を作っただけとも言える。前作に輪をかけて濃いキャラクタが次々に登場し、まるでこの世界では持ちネタを日常会話に挟む事が義務づけられているかのような錯覚に陥る。
 新キャラクタの「狩魔 冥(かるま めい)」もこれまた濃いキャラクタだが、ビジュアル・性格ともに好みではないためか良い印象も悪い印象もさほど残っていない(ひでえ) それよりも狩魔 冥の登場により、ヘタレっぷりが一層クローズアップされるようになったサイバンチョの方が面白かった。押しに弱く騙されやすい、法廷で一番偉いはずが威厳のカケラもないヒゲ面のおっさんサイバンチョ。いいなぁ、彼。

第一章 失われた逆転

 パート1と同じくシステムをプレイヤーに紹介する為のチュートリアル・エピソード。今回はなるほどくんが一時的な記憶喪失という設定で、ちょっとした事件を解決させる内容となっている。そのためストーリーらしきものは全くと言っていいほど無く、印象に残るものではない。トリックや矛盾も導入用の平易なものであるため仕方ないところだが、逆転裁判の世界にあってなおあんまりな矛盾があったりして笑える。公式ページのコラムにある「バナナっぽいグローブ」のくだりに大爆笑。

第二章 再会、そして逆転

 明らかに妖しい人物が順当な理由で真犯人なので、その面での驚きはほとんど無かった。しかし、これから主要キャラクタになる人物の肉親が、おなじく主要キャラクタの命を実際に狙っていたという真相には驚いた。「8歳の純真な女の子の母親が、自分の大切な人を明確な意志を持って殺そうとしてるなんて重い展開にはしないだろう」と、単なるミスディレクションだとタカをくくっていたが良い意味で裏切られてしまった。
 それにしても「供子」の文字が書かれた壷を割ってしまい、それを直す時に失敗して文字が「子供」に変わってしまうという矛盾にはぎゃふん。中途半端に無理がある内容ならツッコミの対象だが、ここまで突き抜けてれば何も言うまい。そのうえ、パート3でもこのネタを使うという引っぱりぶりには脱帽。

第三章 逆転サーカス

 公式ページのコラムによるとかなりの自信作らしいのだが、さほど印象に残っていない。というのも指摘する矛盾が地味だったり、分かりにくい「時間の矛盾」だったりするのでやや勢いに欠けるのだ。また、ピエロのトミーのハイテンションぶりは確かに強烈なのだが、劇中でそう描かれるだけでなく見ている自分にとっても空回りしてしていた。最後の矛盾の強引さも中途半端で尻つぼみ。

第四章 さらば、逆転

 真宵ちゃんを人質にとられた為、有罪と分かっている依頼人を無罪にしなくてはならないというエピソード。裁判を解決に近づければ近づけるほど、一方で崖っぷちに立たされるという構造が面白い。「自信満々だった憎らしい顔を焦燥と絶望に歪ませる」という意味では3シリーズ通して1番のカタルシスを得られるエピソードでは無いだろうか。
 ただ、ラストの2択をプレイヤーに任せた後は各自がその後を想像する内容になっているが、あそこはそれぞれになるほどくんの啖呵を用意してほしかった。どういう理由でそれぞれの選択肢を選んだかはプレイヤーによって違い、それを強引に(そして忠実に再現不可能という意味では中途半端に)画面に出すよりも本人の胸の中に正しいまましまっておく方が良い、という狙いだと思うのだが、それでもやはり「ゲーム逆転裁判の成歩堂龍一」としての答えが聞きたかったところ。

逆転裁判 3

シリーズ完結編。パート1、パート2で描かれた内容や断片的に与えられていた情報を恐ろしいまでにうまく1つにまとめている。第一章、第四章、第五章の3つで大きなストーリーを語る構成になっているためクリア後に二章、三章の印象が薄くなるのはご愛嬌。とはいえ、途中に全く別のストーリーを挟む事によって第一章が全てのキーになっている前フリだという事を感じさせない構成は巧い。

第一章 思い出の逆転

 お馴染みのチュートリアル・エピソードで、今回はなるほどくんを無罪にすべく千尋さんが裁判に挑むという昔話。定番の「本当は腹黒い仮面お嬢様」が登場し、どうやってギャフンと言わせようかと舌なめずりをしたところでお話は終了。やや食い足りない印象があったものの、なるほどくんが惚れていた事を考えればこんなものか.....と思いきや、最後までプレイしてみればこれは全ての始まりとなる(時系列的には始まりではないが)エピソードであり、その為のヒキだったのだと気づく。

第二章 盗まれた逆転

 「依頼人を無罪にした証言や証拠品が、別の事件においては全て依頼人の有罪を示すものとなってしまった」という構造なのだが、それら全てはアリバイに関するものである上、逆転方法もインパクトに欠け、綺麗にまとまっているとは言い難かった。(公式ページのコラムによると、ディレクターにとってもいまいちな出来であるらしい)
 このエピソードから登場するハードボイルド検事(どんなだ)ゴドーの突き抜けっぷりがまた楽しい。カッコいい(?)ビジュアルで微妙にピントの外れたセリフを雰囲気だけは満点に次々繰り出す様子は二枚目半のライバルとしてはこれ以上無い程の素晴らしさである。ゴドー検事のインパクトによってストーリー全てがかき消された感もある。

第三章 逆転のレシピ

 史上最も似ていないニセモノ。公式ページのコラムでディレクターもそう語るこの「似てないニセモノ」が全てのエピソード。裏を返せばヤツが登場した時になるほどくんと一緒に「どこが!」とつっこんだ思い出しか無い。
 どう見ても別人にしか見えないニセモノを当然のように本人としてあつかう周囲の反応を見ていて、サウンドノベル「かまいたちの夜」のコメディエピソード「O の喜劇」で、血の付いた包丁を握ったまま逃げようとする真犯人を「彼は魚をさばいた包丁を持ったままの配達途中の魚屋かなにかでしょう」と言って容疑者から除外するシーンを思い出してしまった。

第四章 始まりの逆転

 第一章につながるエピソードである事にドキリ、そしてこの後に続く物語を感じさせる内容にニヤリ。要は最終話を語るための前準備なのだが、一つの話としてもコンパクトにまとまっており、説明を聞かされているといった印象は無かった。

第五章 華麗なる逆転

 いくつか引っかかる部分はあったものの、これまでの伏線やらなにやらを綺麗にまとめたというのが全体の印象。パート3の第一章、第四章は当然だが、パート1や2の描写も活かしているあたりが巧い。
 ただ、最初のプレイでは犯人がかなり早い段階で分かってしまったため遅々として進まない裁判に苛立を感じ、その他キャラクタのちょっとした反応に違和感を覚えるなどあまり良い印象が無かった。再度落ち着いてプレイすると、綺麗に張られた伏線や地道な追いつめといった逆転裁判本来の魅力に改めて気づき、今度はその完成度の高さに驚いた。おそらく最初のプレイでは制作者が想定する以上に感情移入してしまったため、話を楽しむ余裕すら無かったのだろう。そういう意味ではまんまと制作者の手の上で転がされまくったと言える。
 それにしても、前回は母親が自分の尊敬する人を殺そうとして、今回はその母親の作戦であわや自らの手でその人を殺しそうになった晴美ちゃんは作品が違えば深いトラウマを抱える暗〜い女の子になりそうだ。

次の記事:PlayStation 2 : ANUBIS

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