作品全体
2009年1月31日 10:50 | コメント (0) | トラックバック (0)
最後まで頭脳戦の面白さを柱にした構成
人を殺す力を持ったノートという危険な設定を持った作品だが、必要以上に善悪論に走る事無く、あくまで知恵と知恵のぶつかり合いという頭脳戦の面白さを前面に出した展開は、巻を追う毎に邪悪になっていくライトの表情と共に、ゾクリとするスリルを味合わせてくれた。
自信満々に行動する悪役は、時に主役以上に魅力があったりするが、この作品では主人公がその悪役。しかも、その悪さはただただ残酷であったり人の生死に無頓着といった単純なものではなく、自分が利用できるものを徹底的に利用し、なおかつそれを切り捨てる際に一切の感情が伴わない非情さで、それは時に清々しくすらあった。
当然の事があたりまえに起こる世界
マンガではありがちな奇跡や「実は...」といった展開がほとんど見られなかったのも魅力のひとつで、連載当時は「復活して出てくるんじゃないか」と噂された南空ナオミはきっちり出てこないし、最大のライバルであるエルや、実の父親ですらライトの策略のままに死んでしまった。
回想を挟む場合も事前にしっかりその場面の一部は描かれており、後だしジャンケン風に設定が挟み込まれる事もなかった。これら、展開のフェアさも、読者を物語に引き込む一因と言えるだろう。
見下すライトの瞳がたまりません
そして、小畑健の絵が生み出した迫力と説得力も忘れてはならない。人物や背景がリアルである事は言うまでもなく、アオリにフカン、ヒキから超ドアップまで、緩急を上手くつけた画面運びを自由自在に描く様は圧巻だ。 シャープに整えられた描線は生々しさがなく極めてイラスト的だが、強いライティングを意識した陰影付けは特に人物の表情に力を持たせ、クールさの中に強い感情を見せるライトを魅力的に描く上で大きなプラスとなっていた。
後半は若干失速気味か
エルの死後を後半、それ以前を前半とするなら、明らかに後半は物語の組み立てを失敗しているが、それでもエンディングへの軟着陸は比較的うまく行ったと言えるだろう。
ライトの無様な最期は、読後感や倫理観、何より掲載誌が少年ジャンプということを考えれば、これも描くべき形に描いたといえる。
デスノートと、ライトが行った行為そのものについてあえてここで触れはしない。それは、作品全体はもちろんプロローグとクライマックス、エピローグが特に象徴的だが、DEATH NOTE はあくまで決められたルールの中での頭脳戦を描いたエンターテインメント作品だからだ。
作中においてはライトの思想そのものの描写は少なく、他の一般論を大量に持ってくれば何らかを論じる事は可能だが、それはもはや、作品とは別に語るべきだろう。
高位の有段者による囲碁や将棋の対局.....これが DEATH NOTE の第一印象だったが、妙な路線変更をすることなく無事投了までの様子を描ききってくれた良作だった。
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