カバー画像

疑心暗鬼

2009年1月31日 10:34 | コメント (0) | トラックバック (0)

ライト包囲網を狭めるニア(コミックス第9・10巻)

 キラと日本警察が協力したというメロ強襲作戦の話を聞き、ニアは二代目エルがキラであるとの説を固める。そして、メロと接触したニアは DEATH NOTE のルールの中に嘘が存在する事を知り、それを糸口に日本警察にゆさぶりをかける。メロの介入により模木刑事とニアが対面し、日本警察捜査陣はさらなる疑心暗鬼に陥る。
 完全にターゲットをライトに絞ったニアは、静かな言葉の裏に確固たる敵意を忍ばせ、挑戦状を差し出してきた。日本捜査陣という駒が敵であり、敵であるニアもまた駒として動かそうとするライトの、最期の頭脳戦が始まる.....

真綿で首を絞める

 物語も佳境に入り、初代エルよりも容赦なくライトを追いつめるニアと、それを迎え撃つライトといった図式はなかなか面白い。じわりじわりと指摘するたびに日本捜査陣が疑心暗鬼に陥っていく様子は、人によってはややクドい印象を持つかもしれないが、この作品ならではの静かなスリルに満ちていた。

 しかし、ニアの天才性を描くため、もしくは物語にスピード感を出すただろうか、ニアの推理のことごとくが正解を提示するのみというのはやや乱暴な気がした。

 一例を挙げるなら「キラを殺し自分も死ぬ」という言葉から、夜神局長とキラ容疑者が親子であると見抜く展開だ。この流れそのものは、劇中の人物と読者の注目をごく当たり前の方向に向けておいて、やや意外な方向から真相にたどり着くという構成でなかなか上手い。しかし、正解以外の可能性について一切言及しないというのはちとマズい。

 確かにニアの推理は正解で読者は当然それを知っているのだが、あまりにも正解にまっしぐらだと、推理してたどり着いた結論というより、作者のシナリオを読み上げているだけに見えてしまう。せめて.....「憎い相手を殺して自分も死ぬという可能性」「狂気の行動に説得力を持たせる為に用意された台詞であったという可能性」.....程度の理由を否定した上で結論に至って欲しい。

 実際には、ニアの頭の中で検証が行われ瞬時に却下されているのかもしれない。しかし、フィクションにおいて画面に描かれないものは「無い」のと同義である。そしてそれは、裏を返せば「ある」ものは全て画面に描かなければいけないという事だ。

 もっとも、上に書いた通り、これによって天才性が際立ち話にスピード感が出ているのも事実なので、こんな細かい部分にツッコむような人間をメインの読者層と想定していない限り、正しいと言えるのかもしれない。

前の記事:強襲

次の記事:崇拝者

コメント(0)

コメントを投稿する

コメントの投稿には JavaScript が必要です。
ブラウザの JavaScript 機能を有効にしてください。
投稿ボタンを押してもエラーになりますのでご注意ください。

トラックバック(0)

トラックバックURL : http://www.studio-ponytail.com/mt/mt-tb.cgi/142