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DEATH NOTE(全 15 件)

監禁

Review > Comic > DEATH NOTE
2009年1月31日 10:19

ライトとエル、直接対決(コミックス第5巻前半)

 ライトとミサがエルの監視下におかれた途端、キラによる殺人はピタリと止まった。監禁から7日後、ライトがつぶやいたキーワードは DEATH NOTE の放棄を意味するもので、記憶を無くしたライトはそれまでとは一転、自らの無実を訴え始める。
 そして監禁開始から2週間後、ついにキラによる犯罪者の粛正が再開される。それは、あらかじめライトが立てた計画に基づいて、ミサに憑いていた死神・レムが何者かに DEATH NOTE を渡したからだった。いまだライトとミサへの疑いが捨てきれないエルだが、監禁開始から50日を過ぎ、とうとう二人を解放する判断を下す.....

つぶやきの真意

 ライトが監禁中に DEATH NOTE の所有権を放棄し、記憶を無くすという展開は多くの人が想像したことだろう。そう考えると、問題のキーワードを言うシーンの描き方がハッタリ不足であり、若干の不満が残る。
 そろそろ頃合いか、と時期を見て明確な意志をもってキーワードをつぶやいたのなら、それをもっと分かりやすく見せるべきだろう。逆に、そういった態度をエルに悟られない為に無意識に言ってしまう言葉をキーワードに選び、思わずつぶやいてしまったというのなら、もっと消耗した状態でつぶやいた方が話は盛り上がる。細かい部分だが、状況をくるりと入れ替える大事な場面だけに気になってしまった。

キャラクターによる推理

 一方で感心したのが、ライトとミサへの疑いを捨てきれず監禁を続けるエルが、刑事に「自分の推理が外れた事を認めたくないからこうしてるとしか思えない」と言われ、「やはりそう思いますか」と答える場面。
 この言葉は、自分の判断に絶対とも言える自信を持つ一方、その判断も含めたすべてを客観的に見つめようとするエルの中立性を表している。これによって、エルの推理は作者の設定を代弁するものではなく、劇中で自ら考えたものだという事がうまく表現されていた。

 ライトの父が、車でライトとミサを連れ出して心中を図ろうとする展開は、「息子を思うあまり何をするか分からない」といった布石が打たれていたとはいえ、ダメ押しの芝居であることは明白で引っ張り過ぎの感が否めない。あそこでドキドキした読者はあまり多くないと思うのだが、そう感じるのは筆者がヒネくれているせいだろうか。

 エルがやや正解から外れた推理を行い、ライトとエルが取っ組み合いのケンカを始めるインターミッション的エピソードがなかなか楽しい。記憶を無くしひたすら能天気なミサ、キラを捕まえる気満々のライト、ふぬけたエルと、本編からはかなり浮いた感じのする内容だが、これまでピンと張り続け切れる寸前だった緊張の糸を緩め、次なる展開につなげるにはなかなかの箸休めだった。

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ヨツバグループ

Review > Comic > DEATH NOTE
2009年1月31日 10:24

全ては彼の手の上で(コミックス第5・6・7巻)

 DEATH NOTE を所有している間の記憶を無くしたライトは、その正義感からキラを捕らえるために積極的に捜査に参加する。そしてライトは、キラによる殺人を含むと思われる人死によって短期間で利益を得た企業・ヨツバグループを発見する。松田刑事の危険な単独捜査が偶然にも功を奏し、エルたちはヨツバグループで秘密会議を行っていた8人の中にキラ本人、もしくはキラと連絡を取る事ができる人物がいる確信を持つ。
 会議の議題として淡々と殺害ターゲットを決めるヨツバグループの7人を前に、被害者が出る前に全員逮捕しようと考えるライトたちと、キラを特定して本人を捕らえないと意味がないと考えるエルは、捜査方針の違いから一時的に共同捜査を解除する。エルは言葉巧みにミサを協力者として引き込み、7人の誰がキラであるかを確かめる作戦を実行する.....

解答がふせられた謎

 これまで読者は、登場人物たちが悩む問題の答えを全て知らされていたが、ここにきて初めて正解がふせられたまま物語が進む。ヨツバグループに謎のキラと、画面に登場するものは以前と変わったが、読み合いと探り合い、状況判断と推理で魅せるという作品の基本は変わっていない。以前のように読者が答えを知り登場人物による推理を楽しむパートと、読者も一緒に考えて推理を楽しむパートが程よいバランスで同時進行するのが楽しい。
 ただ、正解が分かった後に頭から読み返すと伏線の存在に気づくといった趣向はほとんど無く、思わせぶりなミスディレクションが多く見られるといったあたりはご愛嬌。

翻弄される小悪党

 キラの正体が火口だと判明してからは、気づかれない大きさの檻で火口を取り囲み、徐々にその檻を小さくして身動きをとれなくさせる様子が克明に描かれていた。手のひらで転がされるがごとく、エルとライトが予想した通りに右往左往する火口は、小悪党ぶりを感じさせてなんとも哀れ。
 次々と想定通りの行動を起こす中、芸能プロダクションに履歴書を見に行っても本名を残していないんじゃないか、と火口が疑問を持つ「僅かな脱線」を入れるのもうまい。エルとキラの天才性を見せるには想定通りに事を運ぶのが大切だが、あまりにうまく行き過ぎるとそこに作者のしたり顔が透けて見えてしまう。結局はレムに説得されて想像通りの道に戻るのだが、これがあることによって火口が作者の意図によって動かされているのではなく、自分の意志で動いているということを感じさせていた。

やや強引なカーチェイスと、真骨頂のクライマックス

 しかし、テレビ局での銃撃戦とフルスモークパトカーとのカーチェイス、ヘリコプターの出動という確保劇はベタなハリウッド映画然としてしまっており、分かりやすい盛り上がり感はあるものの、この作品のクライマックスにはふさわしくないと感じた。
 何より気になったのがエル自らが現場に向かうという流れである。これはおそらくクライマックスとしての演出以上に、現場でライトが DEATH NOTE に触れなくては話が進まないというシナリオ上の都合が大きいだろう。

 しかし、ごく限られた人間にしか姿を見せず、これまでいくつもの事件に関わりながら正体不明だったというエルが、こうも簡単に現場に出向くという展開には違和感を覚え、やはりそこに作者の都合というものを感じてしまう。以前エル本人が語ったように今回の事件が特別である為に現場に出てきたと言えなくもないが、こんな事をしていたら正体なんてすぐにバレると思うのだが。

 そんなアクションシーンは別にして、「計画通り」とライトが邪悪に微笑み、その計画が語られてからの展開はこの作品の真骨頂。回想で描かれるライトの鮮やかな計画、口に出す言葉とは裏腹に相手を探り続けるエルとライト、長い40秒を経てついに目的のひとつを達成するライトと、静かだがしかし、緊張感に溢れたシーンが展開された。

キャラクターの厚みを増す演出

 全体的な感想とは別に感心したシーンは次の2つ。まず、ヨツバの7人を逮捕すべきか否かで決定的に捜査方針が分かれた際に、エルが淡々と「あなたがたは好きなように、私は私が思うように」という対応を取ったこと。これはどちらの方針にも相応の理由があり、簡単にどちらか一方だけが正しく、もう一方は間違っていると言えるものではない。
 どこまで議論しても平行線をたどることが予想できるレベルの意見の相違が生じた場合、その妥協点を見つけるのはかなり難しい。そんな状況で、どうやってまとめ上げるかに時間をかける事なく、まとめあげる事そのものを放棄するという判断は非常に合理的で、エルの有能さと冷静さを物語っていた。
 一般的な価値観はもちろん、フィクションでは「協力する=いいこと」とされる場合が多く、説得なり妥協なり、そして時には強引に意見を集約させることが多いが、こうした決別もひとつの選択肢である。

 次に、記憶を無くしたライトが、かつてのキラと現在のキラを比較し、かつてのキラの考え方が恐ろしいまでに自分と重なることに気づくという展開。このシーンは単純にライトの推理力を見せるだけでなく、犯罪者の粛正という危険な思想の中にある、ライトの確固たる信念を読者に語っている。実際に粛正を行う際にライト自身に演説させて語ることもできるが、今回の見せ方はそれよりも遥かにスマートだ。

ヨツバ編、真の見所

 だが、このヨツバ編での一番の見所はなんといっても、捜査が重要な局面を迎える場面でもなお会話中に罠を仕掛けてくるエルに対し、ライトが「(この僕が)殺人犯になると思うか? そんな人間に見えるのか?」と真剣に問いかける場面だろう。
 見開きを使った大ゴマでライトの真剣な表情を描き、お互いを見つめ合う瞳のアップにつなげるその演出は、通常の流れで行けばエルがホロリと涙を流し「すまなかった」と友情を確かめ合う感動のシーンである。
 しかし、相変わらずの無表情で「思います見えます」と即答するエルと、半ば予想通りとそれを受け止めるライト、その後ろであんぐりと口を開けた夜神刑事という図は最高のギャグだ。加えてページを開くと一転、拳と足が飛び交い、5巻の殴り合いが前フリになっているあたりもうまい。

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エルの最期

Review > Comic > DEATH NOTE
2009年1月31日 10:27

死神までもが歯車となる(コミックス第7巻)

 火口を捕らえ DEATH NOTE を手にしたエルは、死神レムに様々な質問をして、ライトとミサがキラであるという持論の再検証を始める。全ての状況がエルの考えが正しい事を指し示すが、ライトが DEATH NOTE に仕掛けたトリックによって否定されてしまう。
 そしてミサは記憶を取り戻し、隠されたノートと共にあったメモに従いキラとして犯罪者の粛正を再開する。ライトの計画通りに動き出した歯車は、ミサとエルだけでなく死神レムをも思い通りに操り始めていた.....

自動操縦

 第1部のクライマックスとも言うべき一連のエピソードの凄さは、DEATH NOTE の力を再び手に入れたライトが何もしていないところだ。自ら手を下さずに他人を操る、そのうえ、その場でああしろこうしろと指示を出して強制するのではなく、気がつけばそうせざるを得ない状況を遥か以前から作っておく。

 自らの手を汚さない悪役(主人公なのに悪役扱い)というのはなんとも憎たらしいが、こうも意のままに他人を転がして遊んでいると、逆に格好良く見えてしまうのが不思議だ。このような「前から計画してましたよ」という展開は注意深く描かないと途端に嘘臭く白けてしまいがちだが、辻褄合わせを感じさせる事の無い計画、巧妙に隠された真意など良く出来ていた。

正しく訪れた、その瞬間

 そして訪れるエルの最期。マンガを読み慣れている人ほど、この決定的瞬間は無いだろう、あるとしてもずっと先だろうと思っていた出来事が、起こるべき時に起きた。フィクションにおいて登場人物がピンチに陥れば陥るほど、読者は「どうやってこのピンチを脱するのだろう」と起死回生の逆転劇に期待する。それは裏を返せば「どうせピンチになっても奇跡が起きて逆転するんだろう」というあきらめとも言える。

 しかし、この状況をひっくり返す奇跡の策は用意されていなかった。ライトと読者のみが知るカウントダウンは刻一刻と数字を減らし、正しくゼロで終了した。劇中の状況を考えれば非常に正しく、それでいて、これが作られた物語.....もっと言えば週刊少年ジャンプという少年向けマンガ誌で連載されている作品.....であると考えれば起きないはずの出来事がきっちり起きた。

 これは、布石だ。それもあり得ると思うからこそ読者は迷い、騙される。エルの最期は、単純に物語の流れとして起きた出来事という以上に、この作品ならこの出来事はあり得るんですよ、という布石と言える。

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第二のエル

Review > Comic > DEATH NOTE
2009年1月31日 10:28

月・動・静(コミックス第7・8巻)

 エル亡きあと警察庁に入庁したライトは、エルの死を隠す為にキラ対策チームのリーダーとしてエルを演じ、エルとキラとのいたちごっこの争いを演出していた。ライトが想像していたよりも早く人々がキラの考えに傾き始める中、エルとワタリが手がけていた児童施設で、真の次代エル候補とされていた二人の少年が動き出す。
 ひとりは、警察庁長官とライトの妹・夜神粧裕を誘拐し、 DEATH NOTE を奪おうと画策するメロ。もうひとりは、独自の調査によりエルの死、 DEATH NOTE の存在を突き止めたニア。動と静、危険な二人の少年との新たなる戦いが始まる.....

舞台は大きくなったが...

 新キャラクターは簡単に言ってしまえば動と静。ヨツバ編のラストを除いて静の物語だったこの作品に動の展開も取り入れるという事だろう。ヒネくれ君とマイペース君というベタな配置には若干苦笑してしまうが、第4巻の感想にも書いた単純化という意味では分かりやすくて良い。
 また、真の2代目エルっぽいニアが、初代エルとキャラクターかぶりまくりなのは、最終的にエル対キラの図式を再現するためだろう。そう考えると、初代エルの死はまさに布石のためだったと言うことができ、いやはや作者もライト並に恐ろしい。

 誘拐にハイジャック、怪しげな施設でのノートの交換と派手なエピソードが続き、舞台も日本を飛び出してスケールもアップしているのだが、それが面白いかというと微妙。というのも、それぞれのギミックや推理は、これまでのように積み重ねて大きな形になるわけではなく、単に順番に並べて飾られているに過ぎないからだ。

偶然に助けられたニア

 そして、相変わらず用意周到なライトの作戦が、予想不可能な不確定要素である新たな死神の存在によって失敗に終わるという展開には唖然。伏線そのものは「リュークは大王を騙して DEATH NOTE を2冊持っている」と最初から用意されているので、死神が出てくることには問題ないのだが、その出現のタイミングに何の意思や作戦も関係しておらず、単なる偶然というのはいただけない。

 言ってしまえば、このタイミングで別の死神が人間界に来てメロに接触するという偶然が無ければ、この時点でメロはあっさりジ・エンドだったのだ。メロが死神を呼ばないにしても、その出現時期に何らかの伏線が張られているなら「おっ、あの伏線がこんなところで」とむしろ感心できる展開だが、「そろそろ書き込まないとオレも死んじゃうんだよね」という時期がたまたま今だったというのはあんまりだ。
 もっとも、ニアとの対比や言動から、かませ犬臭が漂うメロなのでそんな彼にふさわしい展開と言えなくもない。

本末転倒

 全体的に、この作品のキモとも言える推理や予測といったものがごく短期的なものになってしまっていて「なるほど、こうなるのか〜」という面白味が少なくなってしまっているように感じる。動のエピソードという目新しい展開は良いと思うが、その分明らかに静がパワーダウンしてしまっている。

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強襲

Review > Comic > DEATH NOTE
2009年1月31日 10:30

強行作戦に出たライト(コミックス第9巻前半)

 新たなる死神の出現で突入作戦が失敗に終わってしまったライトは、キラが警察に協力していると見せかけ、DEATH NOTE を使ってメロを直接殺害する強襲作戦を立てる。作戦の要、死神と目の契約をする人物を松田刑事と予想していたライトだが、その役を引き受けたのは父だった。
 父の決意の固さにライトたちは仕方なく納得し、ついに強襲作戦が始まる.....

かませ犬臭プンプン

 相変わらずトホホなメロ。死神の目のことを知っているなら、真っ先にすべきは自分の周りから顔写真が出回っているようなマフィア達を排除するか、彼ら全員が一斉に死んでしまっても痛くも痒くもない状態を作っておくことだろう。
 DEATH NOTE では他人に直接危害を加えるよう操る事はできないが、何らかの工夫による万が一ということや、情報が漏れるという事はあり得る.....というか、実際にそれでバレている。それをせずにおいて、バタバタと死んでいく仲間達を前に「ここまでとは」とつぶやくメロは、もともとどの程度の状況を想定していたのか聞いてみたい。

 強襲作戦もなんだか微妙。とりあえず、ライトたちキラ対策チームはああいった突入作戦でもガンガン活躍できるほどにスゲーんかい、と言いたい。自衛隊でさえ、訓練以外の実戦を行う機会などほとんど無いというのに、いち刑事である彼らはいつあんな特殊訓練を行ったのだろう。催涙弾の煙の中、ノートを持った腕を正確に射撃できる松田刑事の優秀さったらない。

またしても偶然に救われるメロ

 メロが逃げ延びたのは、夜神刑事の迷いに他の刑事の躊躇、それに加えて、またしてもその場で仲間が生き残っていたという偶然。迷いと躊躇はまあアリとして、決定打が死んだフリしていた仲間ってのはアイディアの欠片もない。

 死神との目の取引を躊躇無く行ってしまう展開は良かったが、そこまでの決意を持った人間が、マトモじゃない事が分かっている相手を前に呑気に説得ってのもなぁ。「メロを殺して私も死ぬ」という決意は、単純に「もし殺してしまったら自分も死ぬよ」ではなく「例え間違っていたとしても、私は自分の命を懸けてメロを殺す」という事かと思ったのだが。

 ライトの黒さは随所に発揮され、その面では楽しめたがそれ以外の部分がとにかく弱かった。

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