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宇宙のステルヴィア:1 〜 13話

2005年7月 8日 21:08 | コメント (0) | トラックバック (0)

基本情報

公式ページ  超新星爆発による電磁波と放射線で甚大な被害を負った人類は、来たるべき第2波「セカンドウェーブ」に立ち向かうべく宇宙ステーションを建造した。グレートミッションと呼ばれるセカウンドウェーブ対策とは別に、宇宙ステーションにはパイロットや整備員を養成する学校が作られていた。主人公片瀬志麻(かたせしま:愛称しーぽん)は母親の反対を振り切ってそこへ入学するのだった。

 SF 学園物。宇宙ステーション「ステルヴィア」にある養成学校を舞台に、主人公とその仲間が学園ドラマを繰り広げたり地球を救ったりする物語。かわいい絵柄ながら、SF 的な考証もある程度なされており、ギミックなどの設定も細かい。

前半(第1話 〜 第13話)概観

日常の描写は細かく自然で、まるでその場を切り取ったかのように生き生きしているのに、いざ物語を語り出すと途端に薄っぺらになってしまう。「○○になるのは××という理由があるからです」といった具合に原因と結果を対応させる事ができる作りにはなっているが、その原因 → 結果の流れをすんなり感じる事ができるかというと疑問。
 また、志麻が主役だから仕方がないとはいえ、これだけ日常をきっちり描くなら他のクラスメイトを主役にしたモロ学園物なエピソードも欲しかったところ。というより、グレートミッションとかいいから学園生活をこれでもかと描いて欲しかった気もする。
 登場するキャラクタを視聴者が理解しやすい人数と個性で固め、それぞれを生き生きと描こうとする取り組みは成功していたが、だからこそ肝心の物語のマズさが気になってしまった。

 作画は終始きれいに安定しており、ぐるぐると輪っかが重なる女の子キャラの瞳は見る者を催眠術にでもかけそうな雰囲気。3DCG によって描かれた宇宙船・オーバビスマシンの飛行シーンもカッコ良く、ビジュアル的なクオリティは高い。

 BGM もバラエティに富んでおり、壮大なものから日常やコミカルなものまで、どれもクオリティが高い。OP は本編で使用された映像の流用だが、曲にあわせてきっちり再構成されており、曲自体の良さと相まってなかなか盛り上がる出来に仕上がっている。

 映像も音楽も雰囲気もなかなかイイ、でもなんか肝心なところがポロっと抜け落ちているような、そんな印象の13話だった。

各エピソードの感想は内容に触れますのでご注意ください

第1話 ようこそ

宇宙に旅立つ娘を素直に見送る事ができない母親と、同じく素直に行ってきますが言えない志麻を描いた冒頭のシーンでいきなりウルっと来てしまった。母と娘が対峙する場面はもちろん、それ以外で見せる仕草やセリフなども細かく、二人の関係をうまく描いていた。二人を優しく見守る父親と弟という脇の描写もしっかりしており、「第1話は主人公が宇宙に行くところです」といった単なる状況説明に終わらず、旅立ちの瞬間を切り取ったものとなっていた。

 それ以降も、離陸する宇宙船を見送る人々やその船内、志麻と隣に座った老人や女の子との会話など細かく丁寧な描写が続く。最後にステルヴィアから勇壮に飛び立つ新入生歓迎のアクロバット飛行が披露され、船内で仲良くなった女の子と学園寮のルームメイトになったというところで終了。

 それらしいギミックで宇宙を感じさせ、オーソドックスな出会いと会話で物語の始まりを予感させるよくできた第1話だった。志麻たちが舞い跳ぶ宇宙船を見ながらそう思ったように、地球を旅立って宇宙に浮かぶステルヴィアの学校に来たんだな、と素直に感じる事ができた。

 ところで、アリサの髪型凄い な。マンガやアニメに出てくるキャラクタの髪型ってのはたいがいトンデモな感じだが、その中にあっても特徴的。

第2話 とまどい

まさに学園物。お偉いさんの話、熱い教官によるカリキュラムの説明、様々な講義の様子(本選択前のお試し期間だが)、顔見知りになったクラスメイトなど、舞台や講義の内容こそ宇宙っぽいが、描き方は完全に普通の学園物を踏襲している。それらは短いながらも端的かつ効果的に描かれており、前回の「地球を旅立って宇宙に浮かぶステルヴィアの学校に来た」という感想同様、これからステルヴィアでの学園生活が始まる事を自然に感じさせる内容だった。

 後半キーになったのは宇宙船の操縦訓練。体にフィットしたパイロットスーツを恥ずかしがる様子を始め、訓練前の端々のセリフやビジュアルのディテールが細かく、宇宙の、そして学校のカリキュラムの一つであるという説得力があった。操縦が苦手らしく宇宙船を大暴走させる志麻だが、その一方で通常はオフにできないはずの教官機からのリモートをカットするなど、プログラマとしての才能を感じさせる場面もあった。

 やや引っ込み思案な志麻、いつでも元気なアリサ、物静かな優等生のやよい、ちょっと恐そうな晶と、オーソドックスな4人が集まるところも学園物の王道。グレートミッションとやらは置いといて、とりあえずこののほほんとした学園生活を見ていたい気分。

第3話 ごめんなさい

前回その片鱗を見せた志麻のプログラマとしての才能をクローズアップしたエピソード。ステルヴィアのデータベースに浸入して情報を拝借し、警備システムをオフにするというハッキング技術や、教官も驚くようなシミュレーションプログラムを作成したというのが今回のポイントだが、それをクラスメイトが集まってのドタバタ騒ぎのテスト勉強という日常に絡めて見せるのがうまい。

 グレートミッションについて、その内容や作品中における認識などが語られたのだが、これも志麻の才能と同様、教官たちが対策会議の中継を見ながらやいのやいの言い合うという日常を使って描かれていた。それによると、惑星爆発の衝撃波であったファーストウェーブの次に、実際に破片が飛んでくるセカンドウェーブが来る事は紛れも無い事実だが、人々の捉え方はコンピュータの2000年問題に近いようだ。(2000年問題の場合は実害もほとんど無かったが、ここで言う近いとは、あくまで捉え方の問題)
 人類の運命が決まるかもしれない出来事が迫っていると言われたって、直接宇宙人に攻めて来られてる訳でも無ければこんなもんかな、という気がしなくもないが、生徒たちはまだしも教官はもう少し緊張感を持った方が良いだろう。まあ、教官にしたって作戦の実行部隊という訳ではないだろうから、この程度の認識でもおかしくないのかも。

 学園物の定番である凄い先輩として「ビッグ4」という連中がいることになっており、これまでも町田初佳(まちだあやか)とケント・オースチンというキャラクタは出て来ていたのだが、今回残りの2人が登場。忍者に瞑想女と、どちらもかなりの変人風。

第4話 がんばります

宇宙船の操縦が苦手な志麻が奮起し、きっかけをつかむエピソード。

 あらら「沢山のデータは忘れて感覚で飛ぶ」という路線か。先週までの天才プログラマーの流れからすれば、こういった感覚論よりも沢山のデータがあるならそれを処理できるだけのプログラムや考え方をすればいい、という流れになるかと思いきや、ベタなオチに軟着陸。
 しかし、外部の実映像がコクピット内に投射されている訳ではないので(第3話でレイラ教官から、宇宙においては実際の映像を見た方が操縦しにくいため、データによる空間の把握を行え、という説明があった)「感覚で飛ぶ」と言われてもいまいち納得しにくいものがある。まあ、考え方をちょっと変えると、いままで詰まっていた所が嘘のように簡単に見えるというのは良くある事で、そういったものと考えるとアリかもしれない。

 偉大なる先輩の忌憚の無い言葉、友人の何気ないアドバイス、心配してくれる親友の優しさといったものに元気をもらう志麻。ベタな流れだとここで何かを悟ったり、よっしゃーと熱血したりするのだが、これまで描かれて来た志麻の性格をきっちりと踏まえてそういった展開に持って行かないところが良かった。

 ただ、レイラ教官は本当に心配してくれているからこそ厳しい、という流れはとってつけたようで蛇足気味。こういう展開になるには前提として志麻がレイラの指導に反発や不信感、もしくは必要以上のプレッシャーを感じていないとあまり意味はないし、さらにはその大前提として目に余る厳しさといったものが無くてはならない。
 しかし、今回のエピソードで見せたレイラの指導は最初から最後までごく親身なもので、頑張れというメッセージ以外を受け取りようのない内容だった。もちろん、常に「誤解していたが違った」と描く必要はなく「疑問に思っていなかったが、改めていい人だと再認識した」と描いても構わないのだが、そういうスタンスで見せるにはまだ話数が浅く、描写も不十分であったように思う。
 レイラを話に絡めずに、今回はあくまで偉大な先輩と優しい友人に囲まれて頑張る志麻、という流れにした方がすっきりしただろう。

第5話 きっかけ

体育祭に燃える熱血教師とこれまた学園物の定番。きっかけ、というサブタイトル通り志麻は何かをつかんだようだが、それはやはり前回の「感覚で飛ぶ」という路線を推し進めた物らしい。
 クラスメイトとビッグ4の対戦を見ながら様々な分析を行い、「まだ解析終わってないのに〜」と言うなどの伏線もあったのだが、結局「感覚」に落ち着かせるという流れはどうだろう。なんだかよく分かんないから適当にやっちゃえー、という行動が上手く行くという展開は定番だが、なんだか消化不良な感じ。
 これからも志麻を感覚で飛ぶタイプと描く(まあそれは無いだろうが)ならこれまでの描写はまったくの無駄だし、理詰めで攻めるタイプとするなら、(単純に、苦手だった科目を克服したエピソードと考えるなら前回はいいとして)2回続けて感覚に頼った操縦を成功させる場面を描く必要はないだろう

 まあ、「まだ解析終わってない」というセリフが今後への伏線となっているのだろう。

第6話 まけません

体育祭の花形競技、アストロボール(宇宙船で行うラクロスのような競技)に出場する事になった志麻は、1回戦こそ障害物への接触ですぐに退場してしまうものの、翌日行われた2回戦では信じられないほどの大活躍を果たす。

 うーん、ちと活躍しすぎでは? 前回までの「感覚で飛ぶ」をひっくり返すが如く、フィールド上の物体すべての座標をトレース・解析し、リバウンドに利用するという「データ処理・プログラミング技術」での活躍を見せる。
 活躍の方向性はこれで間違っていないと思うが、あっさりと解析を成功させるため外野が「まさか」と驚く様子が白々しく、また、圧倒的すぎて感心するというよりも「はいはい、主人公はやっぱ凄いねー」と興ざめしてしまう。
 劇中で何かを「凄い事」と描くには基準をきっちり見せなくてはいけない。それが宇宙で行われる見た事もない競技となればなおさらである。そのあたりの仕込みが不十分なまま、主人公の行動を外野が「凄い凄い」ともてはやしても、見ている方はおいてけぼりを食らうだけである。

 退場から一転、八面六臂の活躍をさせなくても、ちょっとしたファインプレイでピンチを救い、その裏には優れたプログラミング技術があったという方が自然だったと思う。

 第1話の感想でアリサの髪型を凄いと書いたが、今回登場した風祭りんな も相当なもの。

第7話 くやしいよ

前回のアストロボールでコツをつかんだ志麻は筆記も実技も絶好調。より実践に則した操縦訓練「ライトニング・ジョースト(長い筒状フィールドの両端から2機が発進し、重力場発生装置で相手のバランスを崩して壁のバリアに接触させる)」でも好成績で、合同実習では本科生ビッグ4の初佳と対戦する。

 成功に気を良くして増長するって図は、引っ込み思案として描かれてきたこれまでを見ると多少違和感を覚えるが、中学生あたり(志麻たちは15歳)のメンタリティってこんなものかもしれない。ただ、本科生、それもビッグ4などと称される学園トップレベルの人間に惜敗して涙を流すってのはどうだろう。
 くやし涙というのは、負けたという事実以上に自分の不甲斐なさに感情が爆発する状態で、落ち込んだり、何かに八つ当たりをしたり、次は頑張ると奮起したりといったものを超えた所に存在する。前々回まで落ちこぼれと言われ、前回の前半まで自信なさげだった志麻が辿り着くにはまだ早い感情で、これまでの描写からすれば、「落ち込む」「次は頑張ると奮起する」といったあたりにした方が自然だと思う。

 確かに、第1話での母親とのやりとりを思い出してみると、根っこはなかなか強気のようなので、負けて悔しいと思う素地自体は持っているのかもしれないが、やはり唐突な印象を受ける。どうしてもここでくやし涙を流させたいなら、この前に1・2話挟んで志麻の成長をじっくり描くか、相手をクラスメイト程度の身近な存在にしておくべきだろう。

第8話 わたしですか?

すごい髪型の風祭りんな再登場。飛び級でステルヴィアの学校に転入した彼女は、頭脳明晰で実技も優秀、テルミン の演奏もこなし、昼休みのパン争奪戦も涼しい顔でこなす凄い子だった。

 初佳に負けた時はくやし涙を流し、今回冒頭でも初佳を視野に入れた発言をしていたのに、りんなの凄さを見せつけられ、シミュレータで惨敗しても「敵わないなぁ」と苦笑いするだけの志麻。面と向かって勝負勝負と迫られ、勢いに圧倒されていまひとつ真面目に考えられないのかもしれないが、負けて悔し涙を流すような人間のとるリアクションではない。(それ以前に、今回のシミュレータで志麻は RANK B しか取れておらず、その程度の人間が学園トップレベルの人間に負けてくやし涙も無いだろう、と前回に再度つっこみたいところ)
 マンガ「はじめの一歩」における幕之内一歩と宮田一郎のように、志麻にとって初佳が特別な人間であるなら、本人にだけは対抗心を燃やし、それ以はのほほんとしていてもさほど違和感は無い。しかし、2人の間に因縁めいたものは無く、志麻にとって初佳は単純にレベルの高い能力を持っているという目標の人でしかない。そんな人物にライバル心を燃やして悔し涙を流すような性格なら、突如出現した優等生に心を揺さぶられなければ違和感を覚えてしまう。
 今回志麻がりんなに対して見せたリアクションこそが、前回描かれるべき内容と言えるだろう。

 グレートミッションのサポート役に選ばれる志麻と光太ってのも、なんだかなぁ。そりゃあ主人公が活躍してナンボだとは思うが、これでは「しーぽん凄い」ではなく「グレートミッションって、そんなどうでもいい作戦なのね」という感想しか出てこない。
 志麻が入学してから.....いや、入学する以前から常識はずれの能力を発揮して、先生が舌を巻くような活躍を見せ続けているのなら、この大抜擢も理解できる。しかし、予科期間が何年あるかは知らないが、それを経た本科生もおそらく数百人単位でいるであろう学園にあって、そこそこ活躍した程度の人間を大事な作戦のメンバーに選出する理由を、「ストーリー上必要じゃん?」という以外に見いだせというのは無理な話だ。
 光太が選ばれた理由....簡単な科目も難しい科目も全て C を取っていた = 成績を自由にできるほどの実力を隠している.....ってのも微妙。つか、光太くん、あなたの企みバレバレですよ? きちんと隠したいなら、もちっと頭を使って成績をバラけさせないと。

 細かいところでは、自分勝手な行動で規律を乱し、自分ばかりか志麻をも危険な目にあわせたりんなをレイラ教官は叱るべきだろう。帰って来た二人に「罰は明日与えるから、今日は体を休めろ」なんて優しい言葉をかけるのは第4話で言っていた「先送りの優しさ」に他ならないと思うのだがどうだろう。(念のために注:罰を明日与えるから先送り、なんて事が言いたいのではない)反省の色が微塵もないりんなみたいなヤツは、きっとまた同じ事やるぞ。 

第9話 いってきます

「グレートミッションに志麻が参加する事になった」という流れ自体には触れないようにしよう。そうしないと感想がクドクドとした否定で埋まってしまう。

 グレートミッション開始40時間前から、志麻たちオーバビスマシン隊発進までを描いたエピソード。神妙な面持ちながら、予定済みの作業を淡々とこなしてその時に備える作戦本部や各政府機関、学期末の大掃除程度の感覚で学園内の片付けを行うクラスメート達。緊張感こそ違うが、それぞれグレートミッションが「遥か以前から予定されていたこと」であると感じさせるシーンだった。司令室でのアナウンスの他、ステルヴィア内や地球向けのテレビ放送などのディテールもそれらしくて良い。

 それら決戦前の空気も今回の見所だが、何より重要なのは、志麻、ちーちゃん(志麻の母)のやりとり。自宅に電話し、作戦が終わったら電話してねと弟にだけ告げる志麻と、意地を張って電話に出ず、切れた後に「みんなで電話しましょう、あさってになったら」と泣きながらつぶやくちーちゃん。
 お互い直接話すと気持ちが爆発してしまうので、明日迎えるグレートミッションは、他の人と同じように「189年前から折り込み済みの出来事」に過ぎないと言い聞かせようとしたのだろう。1話同様当人同士はもちろん、姉や父、それ以上に母を気遣う弟の反応も細かく描かれていた。
 ベッドに座り、心を落ち着ける儀式のように瓶からコンペイトウ(1話の出発時に弟がくれたもの)を取り出して食べる志麻。ふとその中に折り鶴を見つけ「ちーちゃんだな、こういう面倒くさいことするのは」といいつつ中に書かれたメッセージを読んで涙する。メッセージはグレートミッションと関係している訳もなく、「立派な宇宙飛行士になって帰って来るだろうと信じています」という内容なのだが、それはいつでも変わらない愛情がそこにあるという事に他ならない。
 志麻は「明日頑張って」という激励以上の力と勇気をこの言葉からもらったのだろう。

 志麻本人やその周り、作戦自体の準備といった描写のバランス取りが非常にうまくできていた。これ以上作戦そのもののディテールが大ざっぱだと緊張感が無くなるし、細かいと志麻が浮きすぎてしまう。志麻の描写が薄ければ物語として志麻が参加する意味が無くなり、クドければ作戦自体の説得力が弱くなってしまう。
 しかし、それらのバランスがうまく取れており、作戦の緊張感とその中に放り込まれた志麻の気持ちが綺麗に描かれていた。

第10話 おかえりなさい

巨大ロボットに乗ってグレートウォールを突き抜けた隕石を撃ち抜き、さらにはバリアに開いた大きな穴まで塞いで世界を救ってしまった志麻と光太。

 ここまで活躍を分かりやすく、ド派手に描く必要はあったのだろうか。そもそも、機体損傷でステルヴィアに戻った志麻は「頑張ったけど何もできなかった」と言っていたが、この時点で紛れも無く1人の命を救っているのだ。(バリアを展開してスマートに助ける事はできず隕石が自機にあたって軌道がそれただけだったが、救難を求めていた機体は志麻がかけつけた事によって助かった)
 教官が「味方を救った上に自分も戻ってくるなんて上出来だ」と当然なフォローを入れていたように、この程度の活躍をじっくり描いた方が良かったと思う。

 訓練学校の予科生....つまり、作戦にあたる本物のパイロットからすれば半人前のさらに半人前が巨大ロボットに乗って世界を救うというだけでも現実味が薄れるのに、隕石の射撃、バリア展開とも非常に簡単にやってのけてしまう為に、グレートミッションとやら自体がウサンクサく見えてくる。
 ロボット出動にしても、189年前から計画してきてもこれには対処できないだろう、これを予測するのは無理だろうという状況をきっちり描いておかないと、大変な事が起きてしまったというより「その程度予想してなかったのかこのボンクラ共」で終わってしまう。
 予定通りバリアを展開し出力も 105 % と問題ないのに、理論上抜けてこないハズの隕石がボコボコ通過してくる。よーしオーバビスマシン隊の出番だ、というところまでは良かったがそれ以降の作戦ナシかよ。大体、万が一の為に用意されているのが1人乗りの小火力小型船のみってのはどうよ。
 つか、ロボットはおいといて、巨大な隕石を一発でブチ抜ける兵器をあのサイズにできる技術があるなら、オーバビスマシンと共にあれを装備した中型船を数十機単位で用意しておくのが普通だと思うのだが。

 言うまでもなく、今後も志麻と光太を大型ロボットのパイロットに仕立てる為の展開なのだが、別の流れや、もっと言えば今回のグレートミッションにからめずとも他に方法はあっただろう。てっきり、志麻があのロボットに乗るのはプログラミング技術がきっかけになるのだと思っていた。189年かけて準備した作戦で「もう出動できるパイロットがいない」なんて状態に簡単に陥るのは滑稽でしか無いし、なんだったら教官が乗り込めばいい。
 エヴァンゲリオンにおけるエヴァとのシンクロのように、技術云々ではなく彼・彼女でなくては動かないという状況を、無理矢理でもいいから作らない限り、志麻がコクピットに乗り込む理由は「主役だから」という以外に無い。

 前回の作戦前の描写は丁寧で説得力があったが、今回はまるで絵空事のごっこ遊びにしか見えない。グレートミッションという大がかりな作戦が画面の中で展開されるのではなく、各キャラクタに台本を渡し、それに沿った演劇を見せられている気分だった。

第11話 ほんとうのあなた

グレートミッションは無かった事のように学園モノ復活。周囲より遅れていると感じて落ち込む生徒や、グレートミッションで活躍し、実技ランキングでも上位に入る志麻をやっかむ本科生たち。そして町田初佳は「そういう人(by やよい)」だった。

 ライトニング・ジョーストの自主練中、故意か半ば無意識か、その中間のような虚ろな状態で志麻を危険に陥れる初佳。やよいに言われその場に向かい、驚異的な操縦技術で初佳を止める光太。
 志麻と会話する中で、(序盤から因縁がありそうに描かれていた)やよいとダブる姿を見つけて心を乱され、上に書いたラストにつながるという流れはなかなか自然。
 志麻がロボットに乗り込んだ状況を聞けば、志麻を凄いと思う以上に「私だってその場にいれば / 私ならもっとうまくやれた」と思いそうな気もするが、とりあえず結果を残している志麻に嫉妬するのは、まあ分からなくもない。

 落ち込んでいる晶とそれを元気づけるジョジョというイイ雰囲気のフツー人ふたり、志麻 vs 初佳、初佳 vs やよい、驚異的な能力の片鱗を見せた光太、ウルティマが頻繁に観測している飛行物体。エリート同士のイザコザやナゾの飛行物体もいいけど、学園モノとしてはフツー人を生き生き描く方が楽しくなりそうでそっちを期待。

 非常に細かい事だが、冒頭、グレートミッションが終わった後の状況を「初めて人が、それぞれの思惑で未来を見つめるきっかけでもあったのです」と語っていたが、この作品の世界は189年前の大災害以前に国際戦争が全く無かったという設定なのだろうか。
 共通の目標を失った時に真っ先に心配するのは内紛だと思うが、そういった概念は無い? 単に志麻にそういう発想がないだけで、軍人たちはちゃくちゃくと準備でも進めてる?

第12話 こくはく

志麻 vs 初佳、初佳 vs やよいは、あっさりとベタなところに軟着陸。ただ「もともと初佳が好きで、できれば許したい」という気持ちだったのかもしれないが、光太に「町田初佳はそういう人なの」と言い、予想通り.....いわば性懲りもなく.....志麻を攻撃しようとしていた(実際のところは微妙だが、少なくとも初佳は志麻に故意に傷つけようとしたと答えている)初佳を許したいってのは、いまいちすっきりしない。
 第8話で志麻がりんなを救った事.....同じような状況で自分はやよいを救えなかったこと.....がキーとなっていたようだが、該当シーンで初佳は「そんな方法が...」と笑顔で感心していただけである。今回語られた内容にもってきたいのなら、あの場では笑っていたものの気になって仕方が無いといった描写が欲しかったところ。

 クリスマスらしく、保健医さんラブな熱血先生、やよいラブなピエール、イイ感じのジョジョと晶、「自分の気持ちが伝わらないってくやしいよ、それが好きな人ならなおさら」と言ってしーぽんに不意打ちキスをする光太。さらにラストは Infi(グレートミッションで志麻たちが乗ったロボット)の前でしーぽんが目をつぶって背伸び。ラブ強化週間?
 気持ちはあるのに伝わらない事が悩みだと言うくらいだから、これまでの光太に志麻への恋愛的感情がほとんど感じられなかったのもアリなのかもしれないが、それにしたって唐突。まあラブ強化週間だからいいのか。

 ツリーに飾る星が売り切れてしまい途方に暮れるアリサに「似た物なら持っている」と声をかけたのは変人 BIG4 のニンジャ野郎。予想通り手裏剣だったのだが、「ひとつだけでいいのか」と残念そうに言う様子に笑ってしまった。

 ふと思ったのだが、そもそも相手のバランスを崩して壁に激突させる事が前提の訓練だし、きちんと練習フィールド内にいて、訓練用装備だけで退学になるほど危険な行為ってできるのだろうか。危険の度合いではなく、故意に相手に危害を加えようとした事が問題って事なのかな。
 どちらかといえば、フィールドを飛び出してライトニング・ジョーストをやろうとしたりんなの方がトンデモナイ気もする。

第13話 ふゆやすみ

冒頭「いろいろな事がありすぎて、振り返るのが大変なくらい。だから、今は感じていたい」というモノローグと共に画面に映るのは光太とのキスシーン.....って、しーぽん色ボケ?(違います)

 ピエールからやよい、晶とジョジョ、志麻と光太、弟くんから志麻、ちーちゃんから志麻と、前回に引き続き様々なラブ(?)が描かれたエピソード。正面からやよいにぶつかり玉砕するもすっきりした様子のピエール、初々しさ満点の晶とジョジョなど、実に微笑ましい。
 仕事もそこそこで志麻歓迎計画を立てるちーちゃん。でも直接会うとやっぱり強がったりしちゃうんだろうなぁとか、いやいや冬休みには帰って来てねと折り鶴に書いていたから、さすがに我慢しきれずに抱きしめちゃうのかなとか思っていると、臨時召集により志麻はせっかくの手料理も食べずトンボ帰り。嗚呼、可哀相なちーちゃん。

 地球を救う活躍をしておいて、第11話では何も無かったように学園生活に戻っていた志麻と光太だが、さすがに地球では有名人らしく空港に野次馬やファンがつめかけていた。これら空港での混乱をはじめとして、出発前のドタバタや宇宙船フジヤマなどの描写が細かく、1話の感想同様その瞬間を切り取ったエピソードとしてワクワクして見られた。

 SF 的出来事よりも各登場人物の心情を、という方針なのかもしれないが、日常をこれだけ丁寧に描くのに、あれだけ引っ張ってアオリまくっていたグレートミッションがあっさりしすぎていたのは今更ながらもったいない。
 日常でしか描けない、もしくは日常で描く事が効果的な心情もあるように、ああいった極限状態でこそ描ける事もたくさんあると思うのだが。

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