R.O.D -THE TV- : 1 〜 13話
2005年4月20日 19:09 | コメント (2) | トラックバック (0)
基本情報
公式ページ
その名の通り R.O.D の TV シリーズで全26話。舞台は OVA 版と共通だが6年の時間が経過している。5年前に姿を消した読子・リードマンが気になり全く執筆することができな小説家菫川ねねねと、そのボディーガードとして雇われた紙使い三姉妹が巻き込まれる事件とはいかに。
フジテレビでの放送は20話までで打ち切られ、それ以降最終話までを CS で放送するというとんでもない悲運に見舞われた。この感想を分けているように、作品の内容も前半と後半といった風に区切る事が可能で、前半は単発エピソードを中心としたのほほん路線、後半は OVA のシナリオを巻き込んだシリアス路線となっている。
前半(第1話 〜 第13話)概観
キャラクターをじっくり見せる手法は相変わらずで、序盤でこれでもかとキャラクタを掘り下げているおかげで、それ以降に描かれる重大な事件から何気ない出来事まで、すんなりと入り込む事ができる。派手なアクションだけでなく日常動作の描写も秀逸で、無邪気に黒い部分もかいま見せるダメ人間・長女ミシェルのだらけた動作が最高。ついでに、殴られた時の「あひぃん」という叫びも最高。
全体的に各シーンにおける時間の使い方が巧く演出のクオリティが高い。また、ためるところはきっちりため、弾けるシーンはやや大げさなまでに爆発するメリハリの良さも相まって見ていて気持ちが良い。1話完結が基本なためそれぞれの盛り上がりはそこそこだが、毎回キャラクタの描写を丁寧に重ねて着実にその厚みを増して行くため、次第に盛り上がりの基準値が上がって行くというシリーズ構成が素晴らしい。
各エピソードの感想は内容に触れますのでご注意ください
第1話 紙は舞い降りた
自作小説の映画化にあわせたサイン会を行うため香港を訪れた菫川ねねね。中止を要求する脅迫状に屈服せずサイン会を行おうとするねねねに、ガイドとして雇われた三姉妹は護衛を申し出る。
細かいキャラクター描写も含め見所はたくさんあるのだが、とにかくアクションが圧巻。爆弾を持って会場に現れた犯人に対し、アイコンタクトだけで作戦を決めると、すぐさま移動を開始する前衛担当のアニタ、緊張して物を倒したフリをして注意をそらすミシェル、一瞬訪れたチャンスを逃すこと無く犯人を取り押さえるマギー。そしてさらにミシェルが爆弾を矢で窓の外へ射抜くと、間髪入れずマギーが紙のシールドを窓全面に張り巡らせる。迷いや焦りが全く見られない三人の様子もあわせて、そのベテランぶりとチームとしての熟練度の高さが克明に描かれていた。
これだけでも1話としてのつかみは十分だが、後半にさらなるアクションを持ってくる贅沢さが凄い。日本に帰るねねねを見送ったあと犯人が実は二人組であると知り、帰りの飛行機内で狙われる可能性が高いと推理したミシェル達はマギーがつくりだした巨大な紙鳥でジャンボジェットを追いかける。犯人の制圧は一瞬で終わるものの飛行機はコントロール不能に陥ってしまう。するとミシェルが一瞬でジェット機の両翼を切断し、マギーが胴体部分を包んだ紙鳥を作り出してそのまま飛行場に着陸させる。
異端の能力を魅力的に見せるにはまずハッタリが必要なわけで、そういう意味ではこの(半ば無意味とも言える)スケールの大きさが気持ち良かった。さらに、言葉による説明を極力排し絵で見せるアクションとしての質も高かった。
とにかく、アイディア・作画ともテレビシリーズとは思えないクオリティの高さを見せた内容だった。
第2話 ダメ人間ども集まれ
前回の活躍を知った菫川ねねねの担当編集者にそのまま護衛として雇われる三姉妹。ところが、用意されたアパートには命よりも大事な本が1冊も無い。ミシェルはなんだかんだと理由をつけてねねねのマンションにころがりこむのだが.....
この手の「当人の都合を無視したワガママな連中が日常を破壊する」というパターンはフィクションであってもイラっとくるのだが、三姉妹それぞれが違ったベクトルで好き勝手な事をする様子がテンポ良く描かれており、嫌な雰囲気がほとんど無かった。際限なくエスカレートする事無く、ねねねの怒りが炸裂して当然のごとく説教を食らい、またそれを大人しく聞くという展開も良かった。
翌日、帰ってくるまでに出て行けと言って出かけたねねねを見送り今後の事を相談する三姉妹だが、だらしない姿勢で本を読みながら話す長女ミシェル、真面目そうに見えてやっぱり膝をかかえて本を読みながら話す次女マギー、とにかく面倒くさそうな三女アニタと、三者三様のだる〜っとしたスタンスにまたも笑う。こういった場合なし崩し的に居座るのがパターンだが、「私たちにはもう後がないわ。なんとかここに居座りましょう」と積極的に言って作戦まで立てようとするミシェルのダメっぷりがいい。
身の回りの世話をして、自分たちを置いておく価値を見いだしてもらう作戦なのだが、部屋を綺麗に片付けたはいいが本以外は全て捨ててしまうマギーに、美味しい料理を振る舞ったかと思いきや、全てケータリングでなおかつ領収書をねねねに手渡すミシェル。泣き落とし担当のアニタは、ミシェルの捏造した「アニタのピュア・ザ・ダイアリー」の恥ずかしさに耐えられなくなって自ら作戦放棄という惨憺たる有り様。
結局その後は出て行けと一旦追い出すも、情けをかけて家に住む事を許すという王道パターンなのだが、公園で「明日の朝になったら入り口の近くで同情を引くように身を寄せ合うの。これ、涙の代わり。いかに先生が非情でも...」と懲りずに作戦をたてるミシェルなんていう小ネタを挟むあたりがうまい。
とにかくこのダメっぷりがいい。主役クラスのダメさというのは能ある鷹は爪隠すだったり、悪意のない天然ボケから来るものだったり、超人的な活躍を際立たせるための害の無いものだったりというのがパターンだが、長女ミシェルの積極的なダメ人間っぷりは見ていて気持ちがいい。
1話の派手なアクションから一転して同じ作品かと見まがう程の落差だが、つかみである1話を除いて序盤はこういった日常(?)でキャラクタを描く方がぐっと人物に厚みが出る。真面目なんだけど何処かぬけてるマギー。一番の悪態つきだが、その実唯一の常識派(良識派ではない)であるアニタ。そしてのほほんと悪意の無さそうな顔を見せながら腹黒いミシェル。三人の個性がたっぷりと楽しめたエピソードだった。
第3話 神保町で逢いましょう
編集者と打ち合わせするというねねねを見送った三人だが、ボディーガードとしてついていくべきだと気づく。護衛に向かおうとねねねの行き先を地図で調べるミシェルだが、そこに古書店街「神保町」の文字を見つけ.....
まずはねねねを手分けして探そうなんて言いつつ、立ち並ぶ古書店を前に「これから自由時間で、5時間後にここに集合」と言い切るミシェルのダメっぷり炸裂。護衛の事など頭の片隅にもない様子で本屋をハシゴするミシェルと、本屋が気になるもののアニタに釘を刺されている為、必死に耐えながらねねねを探すマギーの対比がおかしい。目を妖しく輝かせ息を荒くしながら本を漁るミシェルと、淀んだ瞳で夢遊病者のように書店の入り口と道路の間をフラフラと行ったり来たりするマギー。どちらか一方だけでも大げさで笑えるのだが、その両極端を交互に見せる演出が相乗効果を生んでいる。マギーが後ずさりしながら逃げ出した店に、何の躊躇もなく入って浮かれまくるミシェルといった小技もうまい。
ミシェルの尋常ならざる買いっぷりが「読子(R.O.D OVA の主人公で現在行方不明。ねねねが「先生」と慕いずっと行方を探している)が帰って来た」という噂となって神保町を駆け巡り、臨時の青空古書市が開催される。読子との再会を待ち望んだねねねは、店の本を全部買い占められたという男に話を聞き目を輝かせるのだが、そこに現れたのは本を山積みにした手押しカートに片足を乗せて颯爽と走るミシェル。責め続けるアニタ、意味不明な言い訳をするミシェル、怒りに顔を引きつらせるねねね、そして途中で倒れてしまいそこにいないマギーといったそれぞれが、四人のスタンスを端的かつうまく表していた。
第4話 中1コース
なんだかんだと理由をつけられ中学校に通う事になったアニタは、そこで本好きの少女久美(ひさみ)や、やけにつっかかってくる男子生徒、姉の書いた小説を強烈にプッシュしてくる勘違い気味の女子生徒なんて面々と出会う。様々な事に困惑しながらも、学校生活をそれなりに楽しむアニタだった。
またしてもやりたい放題のミシェル。「保護者としてアニタちゃんを影から見守る」と喜々としてでかけようとしたところをマギーに「遊びに行きたいだけじゃ」とつっこまれ、一瞬動きを止めるも何も言わずに出かけてしまうあたりがおかしい。
ペラペラの英語を披露し体育のバレーボールでも大活躍。早くも人気者になったアニタは大騒ぎしながら楽しそうに給食を食べる.....という学園物のお約束を展開する中登場したのは中学校の制服で身を包んだミシェル。ぶはーーっと牛乳を吹き出すアニタのリアクションは観客の気持ちを代弁している。
今週もこのまま事件らしい事も起こらず終わるのかと思いきや、図書室で本の強奪事件が発生。1話のようなスケールの大きさはないものの、体重をも感じさせるアニタのアクションが素晴らしかった。ブラスバンド部に潜り込んでトランプに興じるなど、前半に引き続き好き勝手やっていたミシェルも、アニタに向けられた銃を矢で弾く活躍を見せ姉としての面目躍如。
読子に関する情報があり、1週間程家を出るという書き置きを残して飛び出してしまったねねね。ねねねが戻るまでボディーガードの仕事は休暇ということになったが「先生が戻るまで休暇ということで」「そうですね有給休暇ということで」「休暇ということで」「ここはひとつ有給休暇ということで」と電話でしつこく食い下がるミシェルがいい。
第5話 やつらは騒いでいる
休暇の三姉妹に香港時代から付き合いのある組織から仕事が舞い込む。任務の内容は4年前の大英図書館火災のどさくさで盗まれた稀覯本を取り戻す事。とはいっても取り戻した本を大英図書館に返すといった表舞台の話ではなく、あくまで依頼主の読仙社(どくせんしゃ)がその本を手に入れようと言う裏の仕事。そして3人はルーマニアの湖にぽつんと浮かぶその本のありかへと到着する。
のほほんと潜入計画を話すミシェル、愚痴を言い悪態をつくアニタ、相変わらず黙々と手を動かすマギーと、それぞれのスタンスはこれまでと変わらないものの、任務を前に手慣れた様子で準備を行う様が、先週までとは違った雰囲気を感じさせて良い。
しかし、敵の術によりチームワークが乱されたというエピソード全体はいまいち。「敵の術によって」という部分は途中でミシェルとマギーがセリフによって説明してしまうのだが、それ以前の大前提である「今回の状況は普段と違い、チームワークが乱れている」という事自体がわかりにくいのだ。
普段と違う、というのは当然の如く普段を知らなくては判断する事はできない。もちろん、一般的な感覚や尺度で推測したりそれ以外の部分から予想する事はできるし、知らない部分に関しては推測を基に判断するのが普通である。
しかし、そうやって考えてみると 3人の普段の仕事ぶりはほとんど知らない。1話で描かれた見事な活躍は緊急時の「実務」であり、今回のようにじっくり任務を進める様子や、途中のやりとりは見せられていない。
また、2話 〜 4 話で「悪態づきのアニタ」「オドオドしたマギー」というものを散々見せられているので、その延長線上で考えると不甲斐ない姉に怒るアニタや、自分の術が効かない事に落ち込むマギーといった今回のリアクションにさほど違和感がないのだ。
途中、「足手まといになんないでよ」と言うアニタをミシェルが叩くシーンがある。これは確かに「今の状態は普段とは違うんですよ。だから、普段はのほほんとしたミシェルがアニタを叩いたりするんですよ」という事を上手く表しているとも言える。しかし、上に書いたようにチームワークが乱れているという実感があまり無いため、物語の自然な流れという以上に演出上の意図を強く感じてしまった。
今回のエピソードをどうにかいじって上手く見せる方法もあるが、この前に別の任務のエピソードを1つ2つ挟み、普段の彼女たちの仕事ぶりを見せてからにしたほうが良かったと思う。2話・3話のような日常における3人の描写にあれだけ時間を割くなら、仕事においてはより丁寧に、せめて同程度には描いておいてから変化球を投げた方が分かりやすい。
また、最後は雨振って地固まるのパターンで締められるのだが、こう持っていくなら「敵の術により」の部分は無くすべきだろう。術の影響がどれほどあったのかは不明だが、こういった場合、姉2人を責めるアニタの言葉は、本人が普段の状況で発したものでなくては意味が薄れてしまう。
第6話 ライトスタッフ
第7話 薮の中
第8話 夜に誘われて
第9話 闇の奥
第10話 クリスマス・キャロル
第11話 さよならにっぽん
第12話 紙々の黄昏
第13話 続・紙々の黄昏
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Kaz.
2005年6月14日 22:55
> peter anderson さん
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