2009年1月(全 17 件)
崇拝者
Review > Comic > DEATH NOTE
2009年1月31日 10:37
裁き(コミックス第10巻)
暴走する出目川に変わり、ライトはキラの代弁者として魅上という男を選ぶ。ライトの期待通りに、時には予想を超える働きを見せる魅上だが、容赦のない粛正ぶりは次第にライトの考え方からずれ始める。
早急な軌道修正が必要だと感じたライトは、魅上が独断で選んだ新たなるキラの代弁者が、かつて恋人を演じていた高田だという偶然を知り、彼女を利用するために捜査を利用して近づく.....
娯楽作品としての本質
ううむ。正直言って DEATH NOTE で人を裁く事そのものにはあまり触れてほしくなかった。というのも、週刊少年ジャンプという少年誌で語るにはあまりにも難しいテーマだからだ。言ってしまえば、この作品は「凄い力を持ったアイテムを、そのアイテムそのものの力を利用しながら奪い合い、騙し合う頭脳戦」を描いているのであって、そのアイテムを誰がどう使っているかというのはさほど関係ない。
実際、最初からライトは犯罪者の粛正を行っているとはいえ、作品の面白さにその裁きそのものはほとんど関係していない。にもかかわらず、多くの読者は「人を殺すノートと、それを使って人を裁く主人公」という部分に注目し、非難したり惹かれたりしていた。
そのような誤解されやすい土壌の上で中途半端な論を展開するのはあまりに危険であるし、何らかの結論を出すとしても、掲載誌を考えれば通り一遍のものにしかならないだろう。結論が出ていない段階でああだこうだと言うのが早いのは分かっているが、率直にそう感じた。
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疑心暗鬼
Review > Comic > DEATH NOTE
2009年1月31日 10:34
ライト包囲網を狭めるニア(コミックス第9・10巻)
キラと日本警察が協力したというメロ強襲作戦の話を聞き、ニアは二代目エルがキラであるとの説を固める。そして、メロと接触したニアは DEATH NOTE のルールの中に嘘が存在する事を知り、それを糸口に日本警察にゆさぶりをかける。メロの介入により模木刑事とニアが対面し、日本警察捜査陣はさらなる疑心暗鬼に陥る。
完全にターゲットをライトに絞ったニアは、静かな言葉の裏に確固たる敵意を忍ばせ、挑戦状を差し出してきた。日本捜査陣という駒が敵であり、敵であるニアもまた駒として動かそうとするライトの、最期の頭脳戦が始まる.....
真綿で首を絞める
物語も佳境に入り、初代エルよりも容赦なくライトを追いつめるニアと、それを迎え撃つライトといった図式はなかなか面白い。じわりじわりと指摘するたびに日本捜査陣が疑心暗鬼に陥っていく様子は、人によってはややクドい印象を持つかもしれないが、この作品ならではの静かなスリルに満ちていた。
しかし、ニアの天才性を描くため、もしくは物語にスピード感を出すただろうか、ニアの推理のことごとくが正解を提示するのみというのはやや乱暴な気がした。
一例を挙げるなら「キラを殺し自分も死ぬ」という言葉から、夜神局長とキラ容疑者が親子であると見抜く展開だ。この流れそのものは、劇中の人物と読者の注目をごく当たり前の方向に向けておいて、やや意外な方向から真相にたどり着くという構成でなかなか上手い。しかし、正解以外の可能性について一切言及しないというのはちとマズい。
確かにニアの推理は正解で読者は当然それを知っているのだが、あまりにも正解にまっしぐらだと、推理してたどり着いた結論というより、作者のシナリオを読み上げているだけに見えてしまう。せめて.....「憎い相手を殺して自分も死ぬという可能性」「狂気の行動に説得力を持たせる為に用意された台詞であったという可能性」.....程度の理由を否定した上で結論に至って欲しい。
実際には、ニアの頭の中で検証が行われ瞬時に却下されているのかもしれない。しかし、フィクションにおいて画面に描かれないものは「無い」のと同義である。そしてそれは、裏を返せば「ある」ものは全て画面に描かなければいけないという事だ。
もっとも、上に書いた通り、これによって天才性が際立ち話にスピード感が出ているのも事実なので、こんな細かい部分にツッコむような人間をメインの読者層と想定していない限り、正しいと言えるのかもしれない。
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強襲
Review > Comic > DEATH NOTE
2009年1月31日 10:30
強行作戦に出たライト(コミックス第9巻前半)
新たなる死神の出現で突入作戦が失敗に終わってしまったライトは、キラが警察に協力していると見せかけ、DEATH NOTE を使ってメロを直接殺害する強襲作戦を立てる。作戦の要、死神と目の契約をする人物を松田刑事と予想していたライトだが、その役を引き受けたのは父だった。
父の決意の固さにライトたちは仕方なく納得し、ついに強襲作戦が始まる.....
かませ犬臭プンプン
相変わらずトホホなメロ。死神の目のことを知っているなら、真っ先にすべきは自分の周りから顔写真が出回っているようなマフィア達を排除するか、彼ら全員が一斉に死んでしまっても痛くも痒くもない状態を作っておくことだろう。
DEATH NOTE では他人に直接危害を加えるよう操る事はできないが、何らかの工夫による万が一ということや、情報が漏れるという事はあり得る.....というか、実際にそれでバレている。それをせずにおいて、バタバタと死んでいく仲間達を前に「ここまでとは」とつぶやくメロは、もともとどの程度の状況を想定していたのか聞いてみたい。
強襲作戦もなんだか微妙。とりあえず、ライトたちキラ対策チームはああいった突入作戦でもガンガン活躍できるほどにスゲーんかい、と言いたい。自衛隊でさえ、訓練以外の実戦を行う機会などほとんど無いというのに、いち刑事である彼らはいつあんな特殊訓練を行ったのだろう。催涙弾の煙の中、ノートを持った腕を正確に射撃できる松田刑事の優秀さったらない。
またしても偶然に救われるメロ
メロが逃げ延びたのは、夜神刑事の迷いに他の刑事の躊躇、それに加えて、またしてもその場で仲間が生き残っていたという偶然。迷いと躊躇はまあアリとして、決定打が死んだフリしていた仲間ってのはアイディアの欠片もない。
死神との目の取引を躊躇無く行ってしまう展開は良かったが、そこまでの決意を持った人間が、マトモじゃない事が分かっている相手を前に呑気に説得ってのもなぁ。「メロを殺して私も死ぬ」という決意は、単純に「もし殺してしまったら自分も死ぬよ」ではなく「例え間違っていたとしても、私は自分の命を懸けてメロを殺す」という事かと思ったのだが。
ライトの黒さは随所に発揮され、その面では楽しめたがそれ以外の部分がとにかく弱かった。
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第二のエル
Review > Comic > DEATH NOTE
2009年1月31日 10:28
月・動・静(コミックス第7・8巻)
エル亡きあと警察庁に入庁したライトは、エルの死を隠す為にキラ対策チームのリーダーとしてエルを演じ、エルとキラとのいたちごっこの争いを演出していた。ライトが想像していたよりも早く人々がキラの考えに傾き始める中、エルとワタリが手がけていた児童施設で、真の次代エル候補とされていた二人の少年が動き出す。
ひとりは、警察庁長官とライトの妹・夜神粧裕を誘拐し、 DEATH NOTE を奪おうと画策するメロ。もうひとりは、独自の調査によりエルの死、 DEATH NOTE の存在を突き止めたニア。動と静、危険な二人の少年との新たなる戦いが始まる.....
舞台は大きくなったが...
新キャラクターは簡単に言ってしまえば動と静。ヨツバ編のラストを除いて静の物語だったこの作品に動の展開も取り入れるという事だろう。ヒネくれ君とマイペース君というベタな配置には若干苦笑してしまうが、第4巻の感想にも書いた単純化という意味では分かりやすくて良い。
また、真の2代目エルっぽいニアが、初代エルとキャラクターかぶりまくりなのは、最終的にエル対キラの図式を再現するためだろう。そう考えると、初代エルの死はまさに布石のためだったと言うことができ、いやはや作者もライト並に恐ろしい。
誘拐にハイジャック、怪しげな施設でのノートの交換と派手なエピソードが続き、舞台も日本を飛び出してスケールもアップしているのだが、それが面白いかというと微妙。というのも、それぞれのギミックや推理は、これまでのように積み重ねて大きな形になるわけではなく、単に順番に並べて飾られているに過ぎないからだ。
偶然に助けられたニア
そして、相変わらず用意周到なライトの作戦が、予想不可能な不確定要素である新たな死神の存在によって失敗に終わるという展開には唖然。伏線そのものは「リュークは大王を騙して DEATH NOTE を2冊持っている」と最初から用意されているので、死神が出てくることには問題ないのだが、その出現のタイミングに何の意思や作戦も関係しておらず、単なる偶然というのはいただけない。
言ってしまえば、このタイミングで別の死神が人間界に来てメロに接触するという偶然が無ければ、この時点でメロはあっさりジ・エンドだったのだ。メロが死神を呼ばないにしても、その出現時期に何らかの伏線が張られているなら「おっ、あの伏線がこんなところで」とむしろ感心できる展開だが、「そろそろ書き込まないとオレも死んじゃうんだよね」という時期がたまたま今だったというのはあんまりだ。
もっとも、ニアとの対比や言動から、かませ犬臭が漂うメロなのでそんな彼にふさわしい展開と言えなくもない。
本末転倒
全体的に、この作品のキモとも言える推理や予測といったものがごく短期的なものになってしまっていて「なるほど、こうなるのか〜」という面白味が少なくなってしまっているように感じる。動のエピソードという目新しい展開は良いと思うが、その分明らかに静がパワーダウンしてしまっている。
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エルの最期
Review > Comic > DEATH NOTE
2009年1月31日 10:27
死神までもが歯車となる(コミックス第7巻)
火口を捕らえ DEATH NOTE を手にしたエルは、死神レムに様々な質問をして、ライトとミサがキラであるという持論の再検証を始める。全ての状況がエルの考えが正しい事を指し示すが、ライトが DEATH NOTE に仕掛けたトリックによって否定されてしまう。
そしてミサは記憶を取り戻し、隠されたノートと共にあったメモに従いキラとして犯罪者の粛正を再開する。ライトの計画通りに動き出した歯車は、ミサとエルだけでなく死神レムをも思い通りに操り始めていた.....
自動操縦
第1部のクライマックスとも言うべき一連のエピソードの凄さは、DEATH NOTE の力を再び手に入れたライトが何もしていないところだ。自ら手を下さずに他人を操る、そのうえ、その場でああしろこうしろと指示を出して強制するのではなく、気がつけばそうせざるを得ない状況を遥か以前から作っておく。
自らの手を汚さない悪役(主人公なのに悪役扱い)というのはなんとも憎たらしいが、こうも意のままに他人を転がして遊んでいると、逆に格好良く見えてしまうのが不思議だ。このような「前から計画してましたよ」という展開は注意深く描かないと途端に嘘臭く白けてしまいがちだが、辻褄合わせを感じさせる事の無い計画、巧妙に隠された真意など良く出来ていた。
正しく訪れた、その瞬間
そして訪れるエルの最期。マンガを読み慣れている人ほど、この決定的瞬間は無いだろう、あるとしてもずっと先だろうと思っていた出来事が、起こるべき時に起きた。フィクションにおいて登場人物がピンチに陥れば陥るほど、読者は「どうやってこのピンチを脱するのだろう」と起死回生の逆転劇に期待する。それは裏を返せば「どうせピンチになっても奇跡が起きて逆転するんだろう」というあきらめとも言える。
しかし、この状況をひっくり返す奇跡の策は用意されていなかった。ライトと読者のみが知るカウントダウンは刻一刻と数字を減らし、正しくゼロで終了した。劇中の状況を考えれば非常に正しく、それでいて、これが作られた物語.....もっと言えば週刊少年ジャンプという少年向けマンガ誌で連載されている作品.....であると考えれば起きないはずの出来事がきっちり起きた。
これは、布石だ。それもあり得ると思うからこそ読者は迷い、騙される。エルの最期は、単純に物語の流れとして起きた出来事という以上に、この作品ならこの出来事はあり得るんですよ、という布石と言える。
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